地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第96回 仕事の質を高める「お酒との上手な付き合い方」

前回、「晩ご飯が人生最大の喜び」という話をしましたが、そこで欠かせないのがお酒の存在ですよね。ただ、年齢とともにその付き合い方が難しくなってきませんか? 私は最近、飲んだ翌日のパフォーマンス低下が気になって仕方がないんです。

もちろん限界を超えて飲んで「今日は終わった……」と後悔する日はありますよ(笑)。でもワイン1本くらいなら翌日の仕事にも支障が出ないんです。健康診断の数値も肝臓を含めてオールAで。だからつい「まだ大丈夫だ」「仕事もできてるし」と飲み続けてしまう。

なるほど、体が丈夫な分、ブレーキがかかりにくいんですね。私も以前は365日欠かさず飲んでいたんですが、アトピーが出たり体が痒くなったりして、「これは飲みすぎだ」と強制的に気づかされました。それからは休肝日を作るようにしたんです。

そうなんですよ。たった1日なのに、我慢しているストレスがすごくて。その反動で翌日に倍くらい飲んでしまったりして(笑)。でもそこから「週2日抜く」に挑戦して、代わりにお茶と羊羹を楽しむようにしたら、だんだん慣れてきたんです。今では1週間飲まないこともザラにあります。

変わりました。久しぶりに飲むと、翌日の頭の回転が明らかに鈍るのがわかるんです。「昔はこれを普通だと思っていたけど、実はパフォーマンスが落ちていたんだな」と気づきました。もし若い頃に酒を飲んでいなければ、もっといい仕事ができていたかもしれないと後悔するくらいです(笑)。

間違いないです。料理とお酒のペアリング、そしてその場の空気感や情緒を味わうこと。それを含めての「食事」ですから。僕もおせちやカラスミを食べる時は日本酒がないと始まらないと思いますし、その幸福感は健康に変えられない価値がありますよ。

そうなんですよね。だから結局、「量より質」にシフトしていくしかないのかなと。毎日だらだら飲むのではなく、美味しい食事の時だけ最高のお酒を飲む。逆に言えば、カレーみたいに「お酒がなくても成立するご飯」の日は飲まない。そうすれば、週に3日は休肝日にできる(笑)。

そうなんです。その1ヶ月で本もたくさん読めたし、映画も見られたし、めちゃくちゃ有意義な時間が過ごせました。ただ、お酒を飲まないと食事がすぐ終わっちゃうじゃないですか。そうすると僕は「ごちそうさま」ってすぐ自室に引きこもって本を読み始めちゃうんですよ。

結局飲むことになるんですね(笑)。でもその「飲まない時間の豊かさ」を知っているのは大きいですよね。お酒を飲む楽しさと、読書や映画に没頭できる楽しさ。この二つを天秤にかけて、自分でコントロールできるようになれば最強です。
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















