原因はいつも後付け 第45回 「他人任せの集客」

// 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

《第45回》他人任せの集客

集客は商売に欠かせない要素の1つ。

商売は全て顧客の存在があってこそ成立するもの。
だから集客ほど商売において大事なものはないと思うのです。

商売を自分で行っている方で、この考えに異論のある方は少ないのではないでしょうか?

ただ私、そんな集客に関して同時にこうも思ったりするのです。
「果たして私たちは、本当に集客の重要性を分かっているのだろうか?」と。


「お店の集客を他人任せにしてはいけない。」
結論を先に書いてしまうと、これが店舗商売の集客における私の考え。

なぜ、こんな事を改めて書いているのかというと、商売において欠かせない要素である「集客」と「商品」を考えた時、自分のお店の「商品」については懸命に考えるオーナーが多い一方、どうも「集客」に関しては、他人任せなオーナーが多いと感じるからです。

「どのグルメサイトが一番集客できるのか?」
店舗の集客に悩むオーナーと話をしていると、時折こんな事を聞かれます。

これを聞きたくなる気持ちは私も良く分かります。
なぜなら、私も過去に様々な媒体にお金を投じて集客しようと、試行錯誤を繰り返してきたうちの1人だから。もちろん、当時の私は「集客を自分で考えている」という自負がありました。

ただ、今から振り返って考えてみると、どの媒体にお金を使うのかを考えるのは、どの媒体に集客を依存しようかと考えているのと同じであり、それは他人任せの集客に他なりません。そして、他人任せの集客とはわざわざお金を使って、競合他社との比較に自ら飛び込んでいく行為と言っても過言でないと思うのです。

これは何も、全ての媒体を使わないほうが良いと言っている訳ではありません。
大事なのは、他人任せの集客からの来店がゼロであったとしても、お店が利益を出すことができる集客方法を自分で持ち続けるという事です。

今回のコロナを経験して、私は改めて感じました。
一斉に始まった自粛はほとんどのお店の集客を同時に悪化させた一方、解除後の集客における回復度合いはお店によって大きく異なっているという事実。

この回復度の違いという結果を生んでいる原因は何なのか?

もちろん立地による違いはあるでしょう。
ただ、それ以上に大きいのは、やはりそのお店が自分で集客する方法を持っていたのか、他人任せの集客方法しか持っていなかったのかの違いではないかと思うのです。

かく言う私も、コロナの影響から完全に立ち直った訳ではないので、偉そうに言うことはできないかも知れません。でも、こんな状況だからこそ、私たちは改めて自分のお店の集客方法を見直してみる良い機会なのではないでしょうか?

集客を他人任せにしないこと。

これを意識し、常に自分のお店なりの集客方法を持ち続ける努力をすることこそ、集客の重要性が分かっていることの証であり、他人任せの集客に依存している限り、集客の重要性を分かっているなんて言うことはできないのではないかと思うのです。

2003年のオープン時、媒体に宣伝費を奮発した2号店。
結果、媒体からの集客はゼロ。当たり前ですが、他人は集客の責任を取ってはくれないのです。

 

著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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