描き加える事によって完成していく絵があるように、
削り取る事によって完成していく絵もある。
たとえば風景画を描く時に、
草木一本一本に至るまで正確に描き込んでいけば
かなり写実的な絵になるだろう。
その写実的な絵から、
本当に必要なもの以外をどんどん消し去っていく。
そうすることによって、
その絵の本質が浮かび上がってくるのだ。
もうこれ以上削り取る事はできない。
そうなった時に全体のバランスを見て、
少しだけ余計なものを描き加える。
その余計なものによって本質が更に際立ち、
引き算のアートは完成する。
描き加えることによる「足し算のアート」と、
削り取ることによる「引き算のアート」。
それは人生という絵を描くときに、
無意識に用いられている手法なのである。
そもそも人間は、何も持たずに生まれて来る。
服もなく、お金もなく、知識も教養もない。
そこにひとつひとつ何かを描き加えていくことによって、
人生という絵が出来上がっていくのだ。
人との出会い、学校で得た知識、職場での経験、
自分好みの服、マイカー、マイホーム。
どんどん描き加えることによって、絵は完成に近づいていく。
ここまでは「足し算のアート」だ。
ここで絵を完成させてしまう人もいるが・・・
– 『[安田佳生メールマガジン] 2015.3.4 引き算のアート』より引用
メールマガジンのご案内<購読無料>
安田佳生コラムの全文は、メールマガジンを登録するとお読みいただけます。
毎週水曜日配信の安田佳生メールマガジンは、以下よりご登録下さい。