小さなブルーオーシャンに出会う旅 第9回「ビジネスは『壊して』みよう!」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

第9回「ビジネスは『壊して』みよう!」


もう20年以上も昔。私が学生だったころ、新宿の夜を歩いていると、「100円で3分間、殴らせます」と言ったニュアンスの看板を持った男の人がいました。酔っ払った男性やOLらしき女性が、ボクシンググローブを手にその男の人を一方的に殴っていました(ほとんどの人は途中で体力が尽きていましたけど…)。今でもいるのでしょうか?
当時の私は、こんなことをする人(される人)がいるんだなぁ、と思っていました。いま思えば、いわゆる「ストレス発散」というやつだったのでしょう(当時、ストレスという言葉があったかどうかは不明ですが)。
さて、これを本格的に「ビジネス」にするとするのであれば、どうなるのでしょうか?というよりも、実際にビジネスにしている会社があるのです。

怒り狂った人が、喜んでお金を払う!?

今回、紹介するのは「BREAK ROOM」というエンターテイメントを提供している株式会社 Brick Wallさん。「BREAK ROOM」とはなにか?読んで時のごとく、「破壊する部屋」です。
物をぶっ壊すことができる空間・サービスで、もっと具体的に言うと、部屋にあるものを破壊し尽くしてストレスを発散するというサービスです。

「何だそりゃ?」

と思われた方もいるでしょうが、参加者はとにかく部屋内にあるバットやハンマー、バールといった様々な武器で、お皿や瓶、電子レンジなどの家電をガンガン壊しているのです。

もともとは2008年にアメリカで始まったビジネスらしく、今では全世界に広がっているのだとか。

「なんだ、モノマネか」

と思った方もいるでしょう。海外で流行っているものを日本人向けにアレンジして展開すると言うのはよくある手法ですから。
しかし、今回、この会社に注目しているのはこれだけではないんです。

小さなブルーオーシャンを生み出しているものは何なのか?

株式会社 Brick Wallさんが中心に据えて展開しているのは「普段、やってはいけないこと」。物を破壊する空間「BREAK ROOM」だけではなく、壁いっぱいに自由に落書きができる「FREE ART WALL」や暗闇で物が壊せる「NEON SMASH」、斧が投げれる「AXE THROWING」、クロスボウが撃てる「CROSSBOW HUNTING」など。一見すると危険な香りのするものばかり。しかし、株式会社 Brick Wallさんは「やってはいけないことができる空間」を創造し続け、世の中の人たちにワクワクとシゲキを提供する企業なのです。

エンターテインメントやスポーツというのは、もともと危険を伴うもの。サバイバルゲームなんて、モデルガンとは言え人に「銃」を向けますし、遊園地のジェットコースターなんてかなり危険な乗り物です。昨年、流行ったラグビーだった、人にぶつかっていくスポーツです。もう危険だらけ(笑)。そこにルールやマナー、エチケットを加味することで、しっかりとしたエンターテインメント、スポーツに生まれ変わるのではないでしょうか?
人が敬遠しがちなこと、怒られそうなこと、嫌がられることなどをうまく活用すれば、逆張りのビジネスが生まれるかもしれません。

 


佐藤洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。
中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

 

感想・著者への質問はこちらから