赤い出口、青い出口 第7回「企業理念をオンライン化せよ」

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

第7回 企業理念をオンライン化せよ

みんなそろってオンライン化

事業のオンライン化が流行っています。ありがたいことに、私のところにも相談がやって来ます。流行りにのるマーケター。商売繁盛。ばんざーい!
というわけにはいかないのです。本当に。

事業のオンライン化をしたい理由をきくと、大きくわけて二つあります。

コロナの騒動によって、人の行き来が制限された!

また流行するかもしれない!

非接触でできることを考えよう! 「オンライン化!」

コロナの騒動で、売り上げが落ちた!

実はネットでは売り上げがあがっているらしい。

固定費削減、ネット移行だ! 「オンライン化!」

オンライン化への対応はとても大切なことです。
わたしたちも、ネットであらゆることが解決できることを知りました。
大きな流れとしては、いろんなものがオンライン化していくものと考えます。

ここで、私は安易なオンライン化はだめだと言いたいのです。

変わったのは私たちの価値観

いま起こっていることは、会うことができないために起こる、急な変化です。
企業から見ると、運転資金を手に入れるための応急処置です。
みんなそろって、オンライン化しても需要がすべてそちらに行くわけではありません。

飲食店は、食べる目的のほかに、人とのコミュニケーション、地方の名産品を食べる、居心地のよさなど、さまざまなサービスがあって、それが店ごとに違うということが、この騒動でわかりました。
どこの店でも弁当をつくれば売れるわけではなく、デリバリーサービスをすれば苦境を乗り切れるわけではないのです。
いままで気の合う同士で飲んでいたグループは、場所を変えオンライン飲みをしています。
いままで外食していた人たちは、家庭でご飯を食べるようになり、家族と過ごす日常に安心感を感じるようになりました。

人の生活が変わると、価値観がかわります。
人の価値観の変化は、マーケットの変化を意味します。
生活スタイルの変化がお金をうごかし、これから世の中のニーズを目に見えるものにしていきます。
企業として本当に怖いのは、オンライン化の遅れより、人のニーズをキャッチできないということではないでしょうか。


オンライン化するのは企業理念

大切なことは、私たちが手に入れてしまった新しい価値観にあわせて、商品を提供する目的や手段を考えなければならないということです。
価値観がわかりやすく変化している今は、ちょうどよい機会だと考えます。
もちろん、オンライン化の大きな流れの中で。

商品やサービスをオンラインに載せ替えるだけでは、価値観の変化に対応できません。
ゆっくりと「赤い出口」に向かっていきます。

商売の目的は、商品を手にしたお客さまが、新しい自分を獲得することです。おそらく、企業理念そのものでしょう。
この騒動は、生活スタイルの変化、営業スタイルの変化と企業理念をマッチさせる良い機会になるのではないでしょうか。商品そのものを変えたり、組織の形態を見なおすことの方が、長期的には大切だと考えます。
そのうえで、企業理念を商品にのせて、オンライン化しましょう。お客様の新しい価値観に寄り添える企業になれば、「青い出口」が待っています。

 


- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、
営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。
独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。

情報流通量の多少が、価値の大きさを決める時代となり、
「出口」の情報流通量を増やすことに重点を置いています。
これが「出口にこだわる」マーケティングの基となっています。

また、「出口にこだわる」実証として、
モロッコから美容オイルを商品化し、販売しています。
<https://aniajapan.com/>

商品の「出口」で情報が増えれば、ファンが増える。
「出口」に注力することで、新規マーケットの創造に力を発揮します。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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