第71回 所属意識とチームワークのゆくえ

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

同窓会やクラス会が苦手です。

会うとそれなりに楽しいのですが、
中学や高校の友人が今何をしているのか、
会わないうちにどんな経験をしたのか、
よく知らないので、
何を話していいかわからなくなるのです。

それは、私だけでなく居合わせた人が
みんな感じているようです。
そうすると、
過去の思い出話に花が咲くことになります。

1回目はともかく、回を重ねても、
時が止まったように同じ話になります。
何度か同じ話が繰り返されると、
だんだん面白みが薄れてきて、
会自体に参加するのが億劫になっていきます。

私にとっては、
会ってコミュニケーションを続けていないと、
クラス会への所属の意識や、
同窓会の参加のモチベーションは、
どうやら湧いてこないようです。
Twitterに書いたら、
賛同の声もいただいたので、
私のように感じる人も多いと思われます。

一方で、
仕事をともにする友人たちとは、
会って話をするのがとても楽しく感じます。
同じ環境のもと、お互いに助け合いながら
時間の共有をすると、
自然と未来の話となります。
同じ目標を持つからです。

同じ目標のもと、
未来の仕事を模索していくのは、
毎回新しい話となり、
刺激的で、会う頻度も高くなります。

同じ目標と集まる頻度があれば、
おそらくチームワークや所属の意識は
醸成されていくのでしょう。

しかし最近は、
リモートワークやワーケーションが
脚光を浴び、
経営者にとっては組織の結束を保つのに
悩んでいるという声を聞きます。
一つのプロジェクトを遂行するのに、
目的を共有したとしても、
パフォーマンスが上がってこないというのです。

同窓会やクラス会のことを考えると、
所属意識やチームワークを強めるには、
相手の人となりを慮ったり、
把握したりすることが
とても重要なことと思えます。

一見ムダだと思える仕事以外のことが、
仕事のパフォーマンスを支える
お互いの関係性になりうるのです。

毎日8時には出社し、
どうでもいい話をするのが日常だった頃を、
「あの頃は良かった」と言ってしまえば、
結局、私自身も同窓会やクラス会が
大好きな人間なのかもしれません。
しかしこのまま、会社は仕事と報酬をやりとりする
機能としてのみ続いていくのでしょうか。

最近、経営者からは、
会社を売ろうとしている話をよく聞きます。
それも、利益や売上などの業績よりも、
社員を大切にしている経営者です。
もしかして、
チームワークを重視している方ほど、
経営の意欲も薄れてきているのかもしれません。

時代の流れとはいえ、
少し寂しい気もしてきます。
チームワークや集団の結束は、
会社で体験するものではなくなるのか。
そもそも、そんなもの必要なくなるのか。
ゆっくり会社のカタチが変わろうとしています。

 

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- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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