赤い出口、青い出口 第41回「勉強する意味」

このコンテンツについて
自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

第41回 勉強する意味

【より長いという安心を求めて】

「どうして勉強しなければいけないの?」
子供に聞かれると、困ってしまう質問です。
将来の選択肢を広げるため、
知識が人生を豊かにしていくから、
説明はするのですが、私も腹落ちしていません。

一方で、打算的に理解している自分もいます。
10年くらい勉強したら、
学歴というハクがついて、
給料高い会社に入って、
長期安定した生活を送れる可能性が高いから。

子供にはなかなか言えませんが、
この打算的な大人の理解からわかることは、
私たちは、より長期間安心することを求めて、
生きているということがわかります。

【依存できれば安泰】

例えば
タピオカ屋さんに就職するよりも、
東証一部上場の財閥系企業に就職する方が、
収入の面では安心ですし、
長く勤務できる可能性も高いです。

タピオカ屋さんに就職すると、
ブームが去った後は、
会社が無くなってしまう不安や、
何屋さんになるかわからない不確かさが、
ついてまわることになります。

つまり
勉強をがんばれば、
長期間の安心を得ることに繋がるので、
揃いも揃って同じ勉強をする。
という、
当たり前のような、迷信のような、
願望のような、宗教のような、
そんなシステムの中に私達は生きています。

そして深く考えることなく、
そのシステムに依存しているのです。


【おじいちゃんのシステム】

私も疑いなく人生を送ってきたので、
私自身は勉強することも、
大企業に入るということも
合理的なことだと信じていました(います)。

ただ、この20年くらいの間に、
会社は結構無くなったり、
変わったりすることがわかってきました。
つまり、会社が知らずしらずのうちに
生まれ変わっていったのです。

よくよく考えると、
会社が生まれ変わるサイクルが
私達の人生より短いことが多いのがわかります。

ということは、大企業に入っても、
長期の安心が手に入るとは限らず、
このシステムに心身ともに依存するのは、
そもそも合理的とは言えません。

おじいちゃんがつくったシステムに、
子供の人生を託していると考えると、
なんか、無責任な気がしてきます。

【勉強は人生に必要か】

もう、頼るのは自分の人生であって、
「勉強~安泰」のシステムではない気がします。
そうすれば、矛盾にさいなまれながら、
子供に勉強する理由を、取り繕う必要もありません。

もし、自分の人生が目的地となるなら、
勉強する理由は果たしてあるのか。
何割の子供が勉強を継続するのか。
親たちはどのような行動をとるのか。
ちょっと、見てみたい気持ちになります。

私達が子供にやらせている、
勉強の出口は、社会の変化で迷子になっています。
私もその出口は見えていませんが、
子供と一緒に探しつづけるしかないと思っています。

 


- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

感想・著者への質問はこちらから