// 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 // |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
《第42回》世の中そんなに甘くない、は本当か?
自粛が解除されて2週間。
以前から言われていたことではありますが、「自粛が解除になっても売上は元に戻らない」という現実を、私も日々実感しています。
でも、これって恐らく「戻る」っていう考え方自体が間違っているんでしょうね。
以前の消費は自粛によって、「止まった」のではなく「終わった」のであり、終わったものはいつまで待っても戻ってこないということ。
いま、私たちに求められているのは、終わってしまった価値が戻るのを待つことではなく、新しい価値を創り出すことなのだと思います。
そんなご時世という事もあり、私たちは今一度「何で稼ぐのか?」を考える時期に来ているような気がしてなりません。そして、この問いに対しての答えを考えた時、私の頭には決まって「あるセリフ」が思い浮かぶのです。
それが、「やりたい事で稼げるほど世の中甘くない」というセリフなのです。
「やりたい事やって稼げるほど世の中甘いもんじゃないよ」
こんなセリフ、皆さんも一度は耳にしたことあるんじゃないでしょうか?
「やりたい事」と「稼げる事」は別物。
やりたい事で稼げる人なんて、ほんの一握り。
だから我慢をしてでも稼げる事を仕事にするしかない。
だって、世の中はそんなに甘くないんだから。
この考え、今から振り返ってみると確かにその通りだと思います。
なぜなら、私自身もやりたい事で稼ごうとお店を開いて、数年は全く稼げなかったから。
ただ一方で、こうも思うのです。
やりたい事だったからこそ、稼げなくても数年間、継続と改善ができたのではないか?と。
やりたい事で稼げるほど世の中甘くない。
このセリフがここまで信じられているのは、多くの人が「すぐに稼ぐ」ことを前提として仕事を考えてしまうから。そして、すぐには稼げなかったとしても、「継続さえすれば稼げる」ようになると信じてしまうからではないかと思うのです。
これを逆に考えるのなら、すぐに稼ごうとせず、改善をしながら継続ができれば、やりたい事で稼げるようになる可能性は高いということ。
「すぐに稼ごうとしない」
「改善をしながら継続する」
この2つは口で言うほど簡単なことではないでしょう。
ただ、やりたい事で稼ごうとする事を「世の中そんなに甘くない」という先入観だけで片付けてしまうのか、「簡単ではないけど可能性はある」と考え、行動してみるのかは大きな違いだと思うのです。
長い自粛を経て、消費に対する考え方は変わりました。
私たちは間違いなく新しい価値を創り出す時期に来ています。
そんな滅多にないタイミングだからこそ、私たちは今一度「やりたい事で稼げるほど世の中甘くない」という先入観を疑い、考え直す価値があるような気がするのです。
やりたい事をやってみて、継続、改善する人にとって世の中は意外と甘い。
これが、やりたい事を仕事にしてみた今の私の実感であり、やってみて、諦めずに継続、改善を続ける限り、やりたい事で稼ぐ可能性がなくなる事なんてないと思うのです。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/