今回のゲストは、大阪でビル・マンションの設計、リフォーム、運用、活用などを事業とされている株式会社ディーマンの野口社長です。BFIでは就活シェアハウスCREWSO(クルーソー)の企画構想をご支援させていただきました。2016年3月にオープンし、実際にシェアハウスでの入居生活・運営もスタート。メディアからの取材依頼も多く、狙い通りの滑り出しをしている企画ですが、実は、野口社長の初期構想では、一切「就活」をターゲットにはしていませんでした。では、なぜ就活にいきついたのか。また、クルーソーのネーミング誕生の裏に隠されていた秘話!?を、ネーミング開発の極意とともにご紹介します。
「クルーソーで良かった」、今なら金額も安いと思えます。
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安田:結果的にテレビ取材を受け、新聞にも載りましたが、そういうことって今までのビジネスのなかではあまりなかったと思うんですけどどうですか。
野口:なかったですね。テレビに出るのも初めてでしたし、昔、「雑誌の取材させてください」でお金取られたことはありましたけど(笑)。メディアの影響力は大きいですよね。
安田:そうですよね。今ではメディアを使って、自社(ディーマン)のイメージを広げてブランディングしていこう、というのは普通に実施されてますけど、最初はなかなか衝撃的でしたよね。
野口:はい。「クルーソー」という名前は本当に親しみやすい。お客さんも覚えてくれるんですよね。あれが「ナビゲート」だったら、今頃お客さんは覚えていないだろうし、会話で出てこないと思います。しっくりこないですもんね、名前的に。
安田:ネーミング開発にもネーミングのルールというのがありましてね。まず、サービスの内容が想定できる。どういう価値をもたらすものなのか、っていう。それから、オリジナリティがある。他にないよね、と。そういうものじゃないとだめなんです。「ナビゲート」ってやっぱりどうしてもありがちなね、って言ったら怒られそうですけど、なんとかナビって既に使われてるんで。
野口:使われてますね。
安田:あともうひとつは「覚えてもらいやすい」ということ。斬新だけど忘れない名前。それでいて、サービスを表現している、というのがなかなか難しい。
野口:なるほど。
安田:クリエーターから後で教えてもらったんですけどね。私の経験談で、会社つくってから最初の10年間は、自分で全部の商品名を作りことごとく失敗してきました。あるときクリエーターさんに考えてもらった名前を見て、もう「自分にこれは向いてない」と感じました。それ以来、お金をかけて名前を付けるということをやってきて、売上も7億8億で止まっていたのが、一気に40億まで伸びました。
野口:お金のかけどころですよね、そこは絶対に。
安田:中小企業の経営者さんって、例えば高性能のコピー機を買うとか、他と比べて人よりお金をかけることはするんですけど、1円もかけてないものにお金をかけるということが結構ハードルが高くて。例えば、知人の紹介で0円で社員を採用できるとなると、紹介会社を利用して採用に50万円かけるということにはすごい抵抗がある。でも、みんなが100万円かけるモノに150万円かけるより、1円もかけないモノに50万円をかけたほうが、はるかに差が出るんですよ。効果出やすいんです。野口さんはやられたから実感すると思うんです。
野口:実感してますね。形、物ではないんですけど、名前の有る無しで、「画期的な商品を開発した!」ぐらいの影響力が生まれますよね。ここは絶対に我々のレベルでは考えもできないようなことを、クリエーターさんたちは表現できるわけですから、本当にすごく価値がある。お金は今から考えたら、正直安かったなぐらいに思いますもんね。
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