第94回 「お得」VS「めんどくさい」

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

5年前に買った車が、
ローンを払い終えたので、
晴れて自分のものになりました。

なんでしょうか、この爽快感は。
借り入れがなくなる晴れやかさというのは、
喉に刺さった小骨がやっととれたような、
重い荷物をようやくおろしたような、
そんな達成感があります。

そんな喜びをよそに、
私の妻は車を買い換えようとしています。
5年も乗ったので「飽きた」そうです。
また、支払いの重荷を背負わなければならなそうです。

本当は、このコラムの筆者としては、
ローンを払い終える前に車を入れ替えて、
新しい車に乗り換えなければいけません。

なぜなら、
車は5年を過ぎると、
再販価格が急に低くなるからです。
再販価格が高いうちに乗り換えると、
新しい車に乗ることができますし、
支払い総額は少なくなるのです。
どうせ5年やそこらで買い換え、
ローンを支払い続けるのなら、
とてもお得に車を運用できます。

それもこれも、これから先数回、
車を所有して乗り換えることになるので、
再販価格が下がる前に、
入れ替えをしていくというのは、
理にかなった方法です。

ところで私は、なぜわかってはいながら、
お得な入れ替えをしなかったのでしょうか。

それは、めんどくさかったからです。

高価なものを買うということは、
手間がかかります。
機能を調べ、口コミをチェックし、
再販価格を調べて、装備を整えます。
支払いも調整しないといけないし、
判子を押さなければいけません。
納車日程も考えなければいけません。
納車されたら、ナビも設定しなければなりません。

どうせ乗り換えるし、
得をするのもわかっているので、
勝手に変えてもらってもいいとさえ思います。

車が趣味という人は、
こだわりがあるのでしょうが、
私のようなこだわりの薄い人にとっては、
お得感よりも、めんどくささが勝ってしまいます。

こんな人たくさんいると思うのですが、
ビジネスチャンスにならないですかね?

 

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- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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