第52回 アマゾンに学ぶ

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

【アマゾンの宅配事業】

アマゾンが自前で配送をすると報道があった時、
「そんなことできるわけない」
と思ってしまいました。

トラック業界に関わっている私は、
ドライバーが不足しているのを知っていたからです。
ただでさえ、ドライバーがいないのに、
アマゾンの宅配をまかなえるほど、
ドライバーが集まらないのではないかと
考えていたのです。

細かいトラブルを集めればきりがないのですが、
蓋を開けてみると、
アマゾン宅配は上手くいっているように見えます。
しかも、驚くほどの短期間で
宅配の仕組みを構築しています。

【デジタル化だけではない】

システム系、IT系の人たちから見ると、
配送や宅配のデータの扱いは、
実はそれほど難しくはありません。
どの品物を、どこの誰かに配達するのか、
あるものを決まった時間に配送するという
データ上の仕組みづくりは
コンピュータの最も得意とするところです。

問題は、
ドライバーや集荷、仕分けの人員が
確保できないだろうと考えられたことです。
できないだろうとは思わないまでも、
どうするんだろうと
業界全体で思っていたはずです。

アマゾンは買い手の情報を
宅配業者まで繋ぐことによって、
配送システムを作ったのがすごい
と思われています。しかし、
どうもそれだけではなく
ドライバーを集めることができたのが、
この事業の成功のキモなのです。

【ドライバー募集をしない】

個人事業主の宅配ドライバーになるためには、
軽トラックや軽バンを
手に入れなければなりません。
そのためにリースやローンを組まなければならず、
結構ハードルが高いのです。
さらに、ドライバーという職業は、
体を使って働くイメージで、人気がありません。

アマゾンは、
車両取得パッケージをつくり、
ドライバーの初期投資を減らしました。
そして、支払いを早めることによって、
会社員と同様に賃金が支払われるようにしました。

その結果、
ドライバーになりたい人が応募するのではなく、
普通に仕事を探している人が、
応募してくるようになったのです。
ターゲットの拡大です。

コロナの影響で、
バイト収入が減った学生が、
レンタルの電動自転車を借りて、
Uber Eatsの配達をするのも同じです。
配送スタッフでは応募してこないのに、
自分の都合のいい時間で働けることに、
魅力を感じて応募してくるのです。

【業務削減と新規雇用】

アマゾンもUber Eatsも、
ネットとシステムで業務削減をしたのですが、
削減して新しくできた仕事に従事する人の
受け皿を用意して、事業をつくっています。

世間ではデジタル化が急速に進んでいますが、
この例に学ぶことが多々あります。

人に支持される事業をつくるためには、
デジタル化や業務削減だけでなく、
そこで働く人が集まって、
システムを使う仕掛けも、
必要になっていると言えそうです。

 

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- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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