第47回 甘い物に抗えないのは「古い脳」のせい?

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第47回 甘い物に抗えないのは「古い脳」のせい?

安田
久保さんは常々、糖の摂りすぎは体に良くないと仰っています。でもほとんどの人は「食べたいから食べている」。つまり体が欲しているから食べているわけで、それがなぜ体に悪いのかが不思議なんですよね。

久保
以前もお話しましたが、白い砂糖なんかは摂取すると脳内からドーパミンと呼ばれる物質が出ることで、麻薬と同じような中毒性を引き起こしてしまうんですよね。だから本当に欲しているのではなくて、「欲しているような気がしている」状態なんです。
安田
うーん。それでもやはり、脳も体の一部なのに、なぜ「体に悪いことはしちゃダメだ」という判断ができないのかなと思うんですよ。どうも脳だけが勝手に暴走しているような気がして仕方がないというか。

久保
どうして「中毒」のような現象が起きるのか。それを突き詰めて考えると、結局のところ「糖はエネルギー源だから」という結論なのかな、と私は思っています。
安田
エネルギーだから、積極的に摂取したほうがいい。脳がそう感じていると。

久保
太古の人類にとって、糖を摂取することは非常に難しいことだったんでしょう。だから「糖=甘い物」を口にしたら、「これをもっと食べたい!」と感じるようにプログラミングされている。
安田
摂取できるうちに摂取し尽くしておけと。次にいつ糖が手に入るかわからないから。

久保
そうですそうです。だから脳は「甘い物はどんどん食べろ!」という司令を出している、というのが1つ目の仮説ですね。
安田
なるほど。他の仮説もあるんですか?

久保
はい。これはビタミンCに関連している話で。ビタミンCって体の調子を整えるために必要不可欠なんですが、人間はこれを体内で作れないんですよ。
安田
ほう、ちなみに他の動物は自分で作り出せるんですか?

久保
そうなんです。人間と一部の動物だけが体内で作り出せない。じゃあどうするかといったら、食べ物で摂取する必要があるわけですね。一番効率的にビタミンCを取れる食べ物って何だと思いますか?
安田
ビタミンCといえば、やっぱり果物じゃないですか?

久保
その通りです。だから昔の人類も果物を食べていたはずなんですね。果物って普通は「甘い」ですよね。だから脳では「甘い物にはビタミンCが含まれるから積極的に摂らなくては」と判断しているんじゃないか、と。
安田
なるほどなぁ。とは言え、それってある意味「脳の判断が間違っている」とも言えませんか? 現代はいつでも好きな時に糖を摂取することができるわけで。

久保
そうですね。実際それで、糖の過剰摂取が問題になっているわけですからね。
安田
そうそう。そういう意味では、脳より体のレーダーに従うべきだと思うんですよね。よく「カラダの声を聞く」とか言いますけど、自分のカラダのコンディションにしっかり向き合えば、本当に必要な食事ができるんじゃないかなと。

久保
私もそこについては全く同感です。でもきっと脳が及ぼす影響が、カラダからのセンサーを打ち消すくらい強いんでしょうね。
安田
やはりそうですよね。だから食べ物に関するジャッジって、カラダからのセンサーが賢くて、脳からのセンサーはバカなんですよ(笑)。

久保
笑。バカというか、融通がきかないというか…。
安田
本当ですよ。これ以上カロリーを摂る必要はないと「カラダ」はわかっていても、「脳」はもっとカロリーを摂ろうと指示を出すこともあるでしょう?

久保
確かに(笑)。脳がしっかりと正常な判断をしていれば、食欲を適切に制御してくれて、太ることもないはずですからね。
安田
そうなんです。私が思うに、人間は「脳みそ信仰」が強いんじゃないかなと。人間が他の動物より優れているのは脳が発達しているからで、「頭(脳)を使って考える」ことこそ重要なんだと思いこんでいるというか…。

久保
ああ、つまり安田さんは「脳の言うことはあんまり信じないほうがいいんじゃないの?」と仰っしゃりたいと。
安田
そうそう。もうちょっと「脳の地位」を下げたほうがいいんですよ、きっと。

久保
ちなみにそんな脳ですが、カラダのあらゆる部位の中で一番エネルギーを使っていること、ご存知でした?
安田
あ、そうなんですか! じゃあ頭をいっぱい使う作業をしている時に、エネルギー源になる「甘い物」が食べたくなるのは、ちゃんと脳から正しい司令が出ていると(笑)。

久保
まぁ、それだけ聞けば確かに正しいですね(笑)。実際、大昔に比べて知能が発達してきたことで、現代では脳を使うことも増えていますよね。だからそれに伴ってエネルギーも大量消費するようになったのかもしれない。
安田
とは言え、先ほども出たように、「本当はもう必要ないのに、際限なく欲してしまう」状態にも陥るじゃないですか。このバグは今後、徐々にでもアップデートされていくんでしょうか?

久保
それは脳が進化するか、ということですか?
安田
そうそう。社会常識だって、時代に合わせて変化していますよね。それと同じようなことが、脳内でも起きてもいいんじゃないのかなと。

久保
どうですかねぇ。そもそも「甘い物は貴重だ」という判断をしているのは脳の「本能的な部分」で。つまり中核です。その周囲を覆うように新しい層、つまり進化の過程が積み重なっていっているんですよ。
安田
ふむふむ。問題の部分はかなり奥の方にあると。

久保
そうそう。だから、脳の構造上「本能的な部分」が大きく変化することはなかなか難しいのではないかと。
安田
なるほど。最近進化した新しい層では「これ以上、糖を摂取するべきじゃない」とわかっていても、本能を司る「古い脳」の司令に勝てないというわけですか。

久保
まさにそうなんです。それは「判断」というより、「反応」とか「反射」のレベルに近いと思うので。
安田
なるほどなぁ。とは言え、ほとんどの人は多くの欲望を「理性」でしっかり抑え込めるじゃないですか。ドラッグとか犯罪とか。それが食欲…特に「甘い物」に関する誘惑にだけ異様に弱くないですか?(笑)

久保
笑。確かに甘いものの誘惑はすごいですからね。ある種、アルコールと同じように依存性や危険性があると言えるかもしれないです。
安田
ということは、もしかすると今後、砂糖もアルコールのようになんらかの規制がされてしまうかもしれませんよね?!

久保
ええ、私はそういう未来もあり得ると思っています。
安田
砂糖を摂取するのに、年齢制限や量の規制がある未来…。私、甘い物が大好きなので、そんな未来は来てほしくないなぁ(笑)。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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