第118回「3Dプリンター住宅」

このコラムについて
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未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第118回  「3Dプリンター住宅」

3Dプリンター住宅の記事を読みました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fd1453ee9585404056a3307c817e17bd86fcd913?page=1
完成したのは球体上の3Dプリンターハウス「Sphere」。広さ10平米ながら施工開始から23時間12分で完成したとのこと。すごすぎる。。。300万円で売り出され、6棟全てが完売しています。
そして、来年2023年春には、広さ49平米の住宅「フジツボモデル」の販売も予定しているとのこと。それがこちらです。


意匠登録第1726544号(意匠権者:セレンディクス㈱、㈱メサ デザイン アンド メイク)
【意匠に係る物品】住宅
【意匠の説明(一部)】建物壁面・屋根は3Dプリント積層造形工法である。


他社が取り組んでいる3Dプリンター住宅は、「垂直な壁を3Dプリンターで印刷する」という従来工法の延長であるため、施工期間に6ヶ月かかり、人の作業も必須なことから、一定のコストダウンしか見込めません。一方、意匠権者でもあるセレンディクス社は、人の作業を不要とした単一素材成型法による24時間以内の3Dプリンター住宅を目指しており、「フジツボモデル」のコストはなんと500万円(!)。しかも、世界で一番厳しいヨーロッパの断熱基準をクリアした上、日本の建築基準法にも準拠し、安全性を担保するというのだから驚きです。

3Dプリンター住宅の開発はオープンイノベーションで進められており、コンソーシアムへの参加企業は既に140社超。セレンディクス社はデジタルの設計・開発に特化し、3Dプリンター出力は海外メーカーが、住宅施工は住宅施工会社が担当することで「水平分業」の住宅づくりが行われています。
建築に各種知財が活用されているようですが、コンソーシアムの企業間では、ライセンスあるいは権利不行使の契約が結ばれているのでしょう。

未来コンパスが指すミライ

COO飯田氏は、従来の高額な住宅との間で競争が激化するとは考えていないようです。顧客ターゲットが住宅を購入できない層(人口の約4割と言うデータも)や賃貸住宅への入居を断られた高齢者であることが根拠のようです。
仮に、想定通りにそのターゲットが3Dプリンター住宅を購入する場合、問題となるのは土地の確保でしょう。マンションやアパートのような集合住宅に住んでいた方々が、一軒家を持つと土地が足りないからです。東京や神奈川、大阪、愛知などの都心に土地を求めることは現実的ではないので、地方に転居する人が増えるでしょうか。3Dプリンター住宅が、日本の人口分散という結果を生むかもしれません。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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