第162回「ターゲットを変え、コンセプトを変えたら8倍の売上を達成!シーブリーズの成功戦略という小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「ターゲットを変え、コンセプトを変えたら8倍の売上を達成!シーブリーズの成功戦略という小さなブルーオーシャン」


「かつてのターゲットは『マリンスポーツを楽しむ若者』。いまは?」

シーブリーズ(SEA BREEZE)っご存知ですか?

塗るとスーッとする冷たい感触で、
夏場に売れるスキンケアローションです。
私が学生の頃、すごく流行っていましたが、
いつの間に、そんなに見かけなくなりました。

調べてみると、時代の流れとともに売り上げが低迷。
2007年には売り上げが大不振だったそうです。
そんなシーブリーズのコンセプトやターゲットを変え、
わずか1年で低迷期の8倍にまで売上を伸ばしたそうです。
一体、何をしたのでしょうか?

1980年代のシーブリーズは、
「マリンスポーツを楽しむ若者」がターゲット。
「海でマリンスポーツの後に汗を拭く20~30代の男性」
に対してのプロモーションをしていました。
パッケージも「海のそよ風」を意味する「SEA BREEZE」
という名前に、ヨットやウインドサーフィンを
連想させる帆のシンボルマーク。
スポーツファンや若者に「夏の定番ブランド」
として定着します。

そのためおそらく、私の年代の男性は
よく利用していたと思いますが、
女性はシーブリーズを使った経験は
少ないのではないでしょうか。

しかし、時代の流れとともに、そもそも
「若い男性が海へ行く」
「夏にマリンスポーツを楽しむ」
こと自体が少なくなっていきました。
「海の定番」が時代遅れな
ブランドイメージとなってしまったのです。

そこで、「海」や「マリンスポーツ」という
イメージからの脱却を図ります。

シーブリーズを「制汗剤」という
ジャンルでとらえたとき、
市場をリサーチし直すと、
制汗剤を使いたがっているニーズの多くは
「高校生」であることが分かりました。

更に高校生の中でも女子のほうが
汗のケアに気を使っている傾向にありました。

シーブリーズのサイトからの画像

そこで、シーブリーズはターゲット層を
「20~30代男性」から「女子高生」へ。

つまり、
「海でマリンスポーツの後に汗を拭く20~30代の男性」から
「部活のあとに汗を拭く、恋する女子高生」に変更したのです。

このイメージにあわせて、
白や青が基調だったパッケージも刷新。
ピンクやオレンジなどの
カラーバリエーションを増やして
半透明のボトルに変更し、
かばんに入っているとかわいい、
コスメのような存在感を持たせました。

テレビCMでは、部活のイメージに似合う
若い女性タレントを起用。
さらにティーン雑誌とのコラボやサンプリングなど、
10代の女子中高生へ浸透するように多面的にアプローチ。

シーブリーズは、このプロモーションからわずか1年で
低迷期の8倍にまで売り上げを伸ばしたと言います。

シーブリーズは資生堂さんの商品ですから、
CMを含めたプロモーションには、
多大な投資をしたとは思います。
そこだけを切り取れば、私たち中小企業は
太刀打ちできないでしょう。

しかし、仮説を立てたり、リサーチしたり、
ターゲットやコンセプトを変えたりすることは、
中小企業にもできるはずです。

売れなくなってしまった商品やサービス。
ターゲットやコンセプトを変えたら、
売れるかもしれませんよ。

 

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佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

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