第8回 社長の仕事論

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第8回 社長の仕事論

安田
渡邉さんはたくさんの社長さんとお知り合いですけど、「大企業と中小企業の一番の違い」って何だと思います?

渡邉
一番の違いは、「社長がやる仕事の幅広さ」だと思いますね。大きい会社ほど、社長の仕事の幅は狭い気がします。
安田
確かに。大企業だと各役員に秘書さんがついていたり、優秀な社員がズラッと揃っていたりしますもんね。

渡邉

そうなんです。それに対して、中小企業は基本的に人材不足ですから、社長自らあれこれやらないといけない。頼れる右腕が一人いるだけで「この社長は恵まれているな」と感じるくらいで。

安田
そうですよね。右腕左腕右足左足全部揃ってる社長なんて、中小企業にはほとんどいないんじゃないですかね?

渡邉
そんな人は今まで見たことないですよ。
安田
ですよね。だから中小企業の社長は、営業も商品開発も採用も教育も資金繰りも、全部自分でやらないといけないじゃないですか。そういう現実がある一方で、それら全部を完璧にできる人なんていないと思うんです。

渡邉
まさにそうですよね。そんなスーパーマンみたいな人はいない。それに、それぞれ得意分野と苦手分野もあるわけで。
安田
そうそう。営業は得意だけど社員の育成は苦手って社長もいれば、組織づくりは得意だけど資金繰りは苦手って社長もいるだろうし。足りない部分や苦手な部分は絶対ありますよね。

渡邉
そうそう。だからこそ、足りない部分を可視化し、役割分担できる会社ほど成功するんだと思います。逆に言えば、外部人材を活用できてない会社の社長って、そこが可視化できていない。「自分が一番仕事ができる!」と思い込んでいるフシがある。
安田
ああ、確かに。全部自分でやってるつもりになっているけど、実際はどれも中途半端だったり、レベルが低かったり。

渡邉
そうなんですよ。さらに言えば、自分が苦手なことって客観的評価ができないじゃないですか。良し悪しがわからない、あるいは見落としてしまいがちというか。
安田
そうですよね。自分ではなかなか気が付けない。例えば採用で悩んでいるくせに、頑なにTwitterなどのSNSをやらない社長がいたりするじゃないですか。僕はああいうのすごく不思議なんですけど。
渡邉
「経営者の仕事っていうのはそこじゃない」っていうフィルターがかかってるんでしょうね。あるいは、それこそ「やるべきことが多すぎて時間がない」というケースもありそうです。
安田
確かにそうかもしれません。先ほどの話で言えば、中小企業の社長って50〜60の役割をやらないといけないと思うんですよ。でも現実的に考えて、できる人でせいぜい3つくらいしかできない。残りの仕事の大部分は手つかずだったりする。

渡邉
まさにそうです。問題は、どういうところが手つかずなのか、自分でも分からないというところで。
安田
でも、そこに自分で気づくってやっぱり難しいと思うんです。自分の性格のどこが悪いのかとかを自分で気づけたら、そもそも性格が悪くならないのと一緒で。

渡邉
そうですね。そう考えると、「自分は50のうち3つくらいしかやれてないんだ」っていうことを前提に考える方がいいのかもしれないですね。
安田
渡邉さんにプロ人材の紹介を頼んでいる社長さんたちは、そのような前提で物事を考えているんですか?

渡邉
それはありますね。全部自分できると思えないからこそご相談をくださるわけで。むしろ社長である自分自身も、会社というジグソーパズルの一つのピースみたいな認識をされてますね。
安田
ああ、なるほど。ここのピースは自分が埋めているから、この埋まってないところは他から引っ張ってこようみたいな。
渡邉
そうそう。逆に外部人材を活用できてない人は、自分というピースの大きさを見誤っているのかもしれません。自分一人で全部埋められてると勘違いしてしまっている。
安田
実は私も前に会社をやっていた時、営業やマネジメントには苦手意識があったんですよ。

渡邉
仰ってましたよね。だからこそ、そこは社員に全面的に任せていた。
安田
ええ。一方で、コンセプトメイクとか商品作り、あるいはブランディングや集客とかは得意だと思ってました。だからそれらの業務については私が率先してやってたんですよね。

渡邉
なるほど。要するに「そこのピースは自分が埋めている」と感じていたと。
安田
そうそう。でも今振り返ってみると、私の会社から独立してブランディングとかの会社の社長になった人もいるわけですよ。

渡邉
ああ、つまり安田さんが任せていなかった分野、安田さん自身が担当していた分野で成功した人がいると。
安田
そういうことです。人間の能力って突然芽生えるもんじゃないんで、その人にはもともと才能があったんだと思うんですよ。だから、私が当時から彼らにコンセプトメイクや商品作りを任せていたら、また別の展開があったのかもしれないなあと考えたりするんです。

渡邉
なるほどなあ。自分の得意分野だっただけに、社員の才能を見抜けなかったと。
安田
ええ。まあ、人間というのは得てしてそういうもので、得意なことは自分でやりたいし、苦手なことは誰かに任せたい。社長と言えどそれは同じです。
渡邉
社長と言っても普通の人間ですもんね。それにしても、そもそも「社長の役割」って何なんですかね?
安田

うーん。やっぱり「社長がいなくてもいい状態」を作ることじゃないですかね。

渡邉
おもしろいですね(笑)。社長の役割は、社長がいなくてもいい状態を作ること、か。でも現実的に、中小企業でそれを実現するのはなかなかハードルが高いですよね。だからこそ外部人材を活用する、という話になるわけですけど。
安田
そうそう。社長の仕事を誰か一人に任せるとなったら、それこそスーパーマンみたいな人が必要になる。でも、役割をピースに分けて考えれば、それぞれに「偏った天才」がいればいい。
渡邉
偏った天才。つまり特定のスキルに秀でた「プロ人材」ですね。
安田
いい感じに「その道のプロ」事業の話に戻りましたね(笑)。ちなみに、各プロジェクトの進行管理もランリグさんが担当するんですか?
渡邉
ええ。必要に応じてミーティングを行ったり、適宜情報共有したりしながら、管理させてもらってもらってますね。
安田

それは社長さんは助かるでしょうね。「偏った天才」もとい「プロ人材」って、優秀なだけに管理も大変そうですし(笑)。

渡邉
そうですね(笑)。「偏った天才」はなかなか組織に馴染まなかったりするので。だからこそ「プロ人材」の扱いに慣れた私たちを頼ってもらいたいんです。

 


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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