第168回「個別対応と洗練された仕立ての融合:keuzesが築く新たなスーツ文化の小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「個別対応と洗練された仕立ての融合:keuzesが築く新たなスーツ文化の小さなブルーオーシャン」


オーダースーツというと
どういうイメージをお持ちでしょうか?

「紳士服」というイメージが強いと思います。

実際にオーダースーツで市場を調べようとすると、
紳士服の主要4社、
青山商事、AOKI HD、コナカ、はるやまHD
のことが出てきて、それぞれに、
1,132億円、886億円、585億円、366億円という
売上規模だということはわかりました。

紳士服業界を含むアパレル市場全体の規模は
縮小傾向にあります。
少子高齢化や根強い節約志向、シェアリング化などを
背景に、バブル期には10数兆円もあったアパレル市場は
2020年には7兆5千億円まで縮小しています。

そんな中で売上を伸ばしている企業があります。

「ジェンダーフリーのオーダースーツという市場を作った!」

前述した通り、オーダースーツは紳士服=男性のもの
になっているのは事実です。
では、女性はオーダースーツを着てはいけないのでしょうか?

東京都千代田区に本拠を構える株式会社クーゼスは、
女性の体型に合ったメンズ仕立てのオーダースーツを手掛け、
創業以来着実な成長を遂げています。

同社代表の田中史緒里氏は、
成人式で振り袖を着たくなくて、
メンズスーツは小さいサイズを探しても
165センチくらいのものまでしかなく、
購入を諦めて成人式には出席しなかったそうです。
また、友人の結婚式に招待されたことで
スーツを探したものの、自分に合うスーツを
販売している場所を見つけることが
できなかったそうです。

女性でもスカートを履きたくないという方は、
確かにいます。

UnsplashのYasamine Juneが撮影した写真

セクシャルマイノリティ、
つまり新しい性のあり方や、
多様性の社会にも
なりつつあります。

田中氏と同じ思いをされた方は
少なくないと思われます。
こうした経験から、田中氏は
同社を立ち上げたといいます。

「オーダースーツを作りに店舗を訪れるのは敷居が高い。だったら、出向けばいい。」

オーダーメイドでスーツをつくるお店は、
40代や50代以上の“おじさん”が
経営しているイメージです。
敷居が高く入りづらい…。

こうしたことから、クーゼスでは、
店舗を持たずに直接顧客と対話する手法を取っています。
スーツの平均単価は約12万円。
安価とは言えないが、同社はスーツを作るまでの過程に
他社にはないコストをかけている。

顧客からの問い合わせがあると、
スタッフは全国どこにでも足を運び、
採寸し、デザインの希望を聞きます。
訪問の際の交通費はクーゼスの自腹。

対話では、スーツのことだけではなく、
仕事や恋愛などの相談まで長時間に及ぶと言います。

ビジネスとしては無駄が多いようにも見えますが、
逆に同社の価値を高めています。

株式会社クーゼスは、
男性以外のオーダースーツ市場を作り、
店舗ではなく出向いて採寸するという
新しい手法を確立しました。

業界に風穴を開ける
小さなブルーオーシャンでした。

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株式会社クーゼス / keuzes Inc.
URL https://keuzes.co.jp/
所在地 東京都千代田区
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佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

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