仕事のときメガネを使われている方、
ブルーライトカットレンズのメガネはお持ちでしょうか。
パソコン・スマホ使用時の疲労軽減目的ということで、
一時期はCMが打たれるほど大流行していました。
わたくしも一度試してみたのですが、
自分の場合は1週間もたたずにやめてしまいました。
ブルーライトカットというだけあって、
青系の光の波長を遮るためにレンズに薄く黄色味が入っているのですが、
かけてみるとカラーサングラスに近いくらい
見え方にはっきり影響するのです。
機能以前に普通の使用に差し障りが出たため
これは合う合わないがあるなあ、と思ったものです。
さて、そんなブルーライトカット、
数年前に日本眼科学会、日本小児眼科学会などが出した意見書で
わりとはっきり効果が否定
されているそうです。
もうちょっといいますと、その意見書は
「ブルーライトが眼精疲労の原因になるという話は
最新の研究では根拠に乏しいことがわかり、
一方、ブルーライト自体は人体への必要性がある程度認められる側面から
子供の使用には推奨しない」
という、子供の発育に焦点を当てたものでしたが、
ようするに
ブルーライト悪者説はひかえめにいっても言い過ぎです、
というのが現在の結論のようです。
……この10年以内にメガネを作ったことがある方はおわかりかもしれませんが、
メガネ屋さんでレンズを作る際、ブルーライトカットというのは
ほとんど当然のようにオプションメニューに載っています。
カレーに対する福神漬けやギョウザにおけるラー油のように、
100%使われることはなくとも、手を伸ばせば選べるようになっているのです。
(ただし有料で)
最新の研究によると否定される、ということでしたが、
ではそれまでの「あるにこしたことはない」というムードを支える論拠は
一体なんだったのか、またはあくまで可能性として扱われたことだとして、
後に残ったのは
それがビジネスとして一人歩きしていた事実だけなのです。
商売は世間のニーズがあってこそ、ではありますが、
他方でニーズは発見されるものなどともいわれます。
「消費者が欲しいものではなく、欲しいとまだ気づいていないものがニーズである」、
それは成熟した社会の場合、ひとつの真理であります。
しかし、少なくともこの件に関しては、
ニーズは「眼に対する悪影響」として単独で発見されたわけではなく、
商品と「抱きあわせ」で掘り起こされたといえるような代物ではないでしょうか。