このコラムについて
「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。
本日のお作法/昔取った杵柄
団塊世代が「すべて後期高齢者」となる「2025年問題」もすぐそこまできています。
2025年には「年金制度改正」も予定されており、50代になってあわてて色々な資格を取ろうとする方もいらっしゃいますが、記憶力も行動力も衰えており、簡単ではない。いや、かなり厳しい道のりです。
しかも、資格を取得したからといって仕事が生み出せる保証もありません。
そのうえ、「人口減少」も続きますし、年金や医療といった社会保障制度の継続も不安視されている現代です。
などといった、ネガティブ、かつ危機感をあおるような話を耳にする機会がありました。
さらには、うまく再雇用で会社に残れたとしても、給与は下がるし、期間も限定的です。
「定年後も働き続ける理由」は大きく2つにわかれます。
1. 年金収入や貯蓄が少なくて生活できない
2. 生活はできそうだが、生きがいや社会とのつながりを持ちたい
「働く目的を明確にして、何歳まで働くのかを考えてみましょう!」
一転して、今度は明るい口調で話を続ける社内講師。
こちら、実は、某大手さんでの「50代キャリア研修」の一幕です。
「労働人口が減り続けている日本ですから、高齢者になっても何かの仕事はあるかもしれません。ですが、プライドや記憶力、体力といった問題で自分ができる仕事は限られてしまいます。できるだけ若いうちから自分の強みを見出して、生涯の働き方について考えてみましょう」
こんなことが、多くの大手企業で行われていることは事実です。
話を聴きながら、思い出すシーンが2つありました。
◆某ホテル、受付にて
チェックインにまごつく、60代と思しきご担当者。
「web予約時に、支払いは済んでいるんだよ」
「QRコードでチェックインできる、って事前にもらっているよ」
「なんで、こんなに時間がかかるの?」
と、チェックイン後に部屋でオンラインmtgがあるという客から、少し強めの問いかけをもらっています。
(ここまで実話)
勝手ながら、想像するに、なんとか65歳までは再雇用で会社に残ることができ、その後は細々と1人での年金生活を送っていたのだが、これからの家計や生活に不安を感じたため、67歳からアルバイトを始めることにしたようです。
(タカマツの妄想です)
不慣れな仕事に真面目に取り組んでいるのでしょうが、若手と比べると、どうしても所作も物覚えも遅く、他のスタッフや客などから度々嫌味を言われてしまいます。。
時には、若い客から、
「おせーよ、ジジイ」なんてヒドイ言葉を浴びせられることだってあるようです。
(繰り返し申し上げますが、タカマツの妄想です)
そんな出来事に出会いました。
また、こんなことも。
◆某コンビニ、店内にて
日比谷にて、通りがかりのコンビニで品出しをしていた、おそらく新人アルバイトと思われる高齢男性。
目当ての商品が見つからずうろうろしてたタカマツに、
「お客様。何かお探しですか?」と穏やかな笑顔を添え、落ち着きはらった口調で尋ねてくださり、品名をお伝えしたら、
「こちらにございます。わかりにくくて申し訳ございません」とピシッとした姿勢で、丁寧に案内してくださいました。
とても素敵な方でした。
あまりに見事な接客でしたので、老舗百貨店か高級ホテルなどにお勤めしてらしたのかな?
と、話好きのぼくは、尋ねてみちゃいましたが、
「ありがとうございます。実は、20歳そこそこから近くのホテルで、昨年までお世話になっていたんです」
「お客様、よく見抜かれましたね。観察眼が素晴らしい!」と誇らしさと照れくささを交えた回答をいただきました。
そんな素敵な人生の先輩との会話は清々しく。
「自身の仕事への取り組み方も、生き方までも、改めていきたいな」と、密かに思った出来事でした。
新橋への帰り道。
立ち寄った書店で手に取った書籍には、
「さすがに昔取った杵柄で、腰がしゃんと極まって、少しの危なげもないばかりでなく、時々、あっと思うような離れ技を演ずる」なんて描写が記載されておりましたとさ。