第35回 優秀な上司の条件

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国18店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第35回 優秀な上司の条件

安田

前回は万代さんの評価制度についてお聞きしましたが、すごく作り込まれてますよね。今日はもう少しポイントを絞って、倉橋さんが考える「優秀な上司の条件」をお聞きしたいんです。


倉橋

ああ、面白そうですね。評価制度にもつながる話ですが、基本的には部下の報酬を引き上げた人が、評価されるべきだと思いますね。

安田

ほう、面白い。自分自身じゃなく、部下の報酬を上げるんですね。それができる人こそが「優秀な上司」だと。


倉橋
ええ。実際そういう制度にしたことで、おもしろいことが起きていて。社内の厳しいマネージャーの人気が高まっているんですよ。
安田

えっ、厳しいマネージャーが人気なんですか? 今の若者はそういうの嫌いそうですけど。


倉橋
もちろんそれは、性格的に厳しいってことじゃなく、「真剣に向き合ってくれる上司」という意味ですけどね。で、上司の仕事は「部下の報酬を上げること」なのだから、真剣に向き合ってくれるということは……
安田
あっ、そうか。つまり「自分の報酬を上げてくれる上司」ってことなんですね。そりゃ人気も出そうです。

倉橋

そうなんです。逆に言えば、性格的にはすごく優しいけど、自分の報酬を上げるための厳しい指導はしてくれない、っていう人は不人気になっている。成長と報酬がリンクしてるっていう認識が、社内に浸透し始めているんでしょうね。

安田

なるほど! すごくいい流れですね。最近は「出世したくない」「早く家に帰りたい」という若者が増えている中で、万代の社員さんはモチベーション高く働けていると。


倉橋

そういう状況にしたくて評価制度を作り込んだので、狙い通りですね。あとはそもそもウチにはそういう意欲の高い子が多いように思います。僕のXでの発信もそういう方に刺さりそうな内容が多いですし。

安田
確かにそうですよね。万代さんへ入社しようと検討している人は倉橋さんのXも見るでしょうし、そこである程度のマッチングが行われているのかもしれません。

倉橋

だとしたら嬉しいですね。僕は万代で仕事をする中で、「経済活動の楽しさ」を知ってくれたらいいなと思っているんです。「目標に向かって投資をして、お客様から選ばれて最終的に報酬を得る」。これって単純にすごく楽しいことじゃないですか。

安田

仰る通りですね。お客さんに喜ばれたら嬉しいし、それだけじゃなく自分の収入も増えていく。どんなゲームよりやりがいありますよね。


倉橋
そうなんです。しかも職種や役職によってその内容は変わっていく。いろんな経験を積みながら、人間としても成長していけるわけで、こんなに楽しいことはない。ちなみに僕の今のミッションは「社員の給料を上げる」ってことです。
安田
ああ、なるほど。確かに社長って会社全員の上司なわけで、倉橋さんの評価基準は「社員の給与をどれだけ上げられたか」で測られると。……と、ここまで話していて気になったのですが、「部下の報酬を上げられなかった上司」は、一体どうなってしまうんでしょうか。

倉橋
それだと上司本人の評価が上がっていきませんから、やがては上司ではなくなってしまうかもしれませんね。
安田

なるほど。つまり降格になる可能性もあると。でもそうなると、「できない部下ばかり配属された上司」は可哀想じゃないですか?


倉橋
いえ、部下の能力を引き出すのも上司の責任なので。もっとも、一度降格したからといって次のチャンスがないわけではありません。一旦部下の立場に戻って、学んだことをまた活かしていけばいい。
安田

うーん、でも、部下と上司が入れ替わる可能性もあるんじゃないですか? 昨日まで部下だった人が今日から上司、みたいな。それはけっこうキツイと思うんですけど。


倉橋
まあ、可能性はゼロではないですね。もっとも、人間関係がパフォーマンスに影響するような配置はしないようにしています。
安田
なるほどなぁ。そう考えると、ある意味すごくシビアですよね。ちなみに自分の部下を誰にするかは、上司自身が決められるんですか?

倉橋
基本的には人事部門で編成をしているので、自分で部下を選ぶことはないですね。僕の周りにいる幹部メンバーも、僕自身が選んだわけではないですし。
安田
ああ、なるほど。倉橋さん自身も編成に携わってるわけではないんですね。ということは、社内出世を目論んで倉橋さんに近づいてくる人がいても肩透かしを食らうと。
倉橋
まぁそうですね。僕をいくらおだてたところで出世できるわけじゃありません(笑)。

 


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に18店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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