人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第19回 年収を10倍にする方法
以前、「収入を10倍にするのは、10年でできる」という話をメルマガに書いていましたよね。今日はその話をお聞きしたくて。
ありがとうございます。確かに皆さん興味のある話でしょうね。
ええ。誰だって収入は上げたいですからね。で、そのメルマガを読んでいくと、「重要なのは、自分がどういう人間であるべきか、きちんと捉えることだ」とあって。それができれば収入はどれだけでも増えると。
ええ。より具体的に言えば、「コンフォートゾーンを塗り替えること」で収入は上がります。
ふーむ。まずその「コンフォートゾーン」というのが、ピンと来ない人も多そうですけれど。
端的に言えば、「心地よくてストレスのない状態」ということですよね。例えば年収500万円の人がいたとして、今の収入がコンフォートゾーンなら、上がりようがないわけです。
ああ、なるほど。「俺は500万円で何の不満もない!」という人は、収入は上がらないと。
ええ。でもその人が現状に不満がある、つまりコンフォートゾーンから離れている場合、自然とそっちに近づこうと努力するようになる。例えばその人にとってのコンフォートゾーンが「年収600万円」なら、それに近づいていくわけですよ。
今が不快だから、快適な方に近づこうとすると。確かに500万から600万なら、頑張り次第で上げられそうです。
ええ。でもね、そこが実は落とし穴なんですよ。
ん? どういうことです?
だって、それじゃ年収は10倍にはならないじゃないですか。たった100万円上がっただけ。
いやでも、その方のコンフォートゾーンは実際600万円なんですから、当然な気がしますけど。
ええ。だからここで「コンフォートゾーンの塗り替え」を行うんです。実際のコンフォートゾーンが600万だったとしても、「いや、違う。俺のコンフォートゾーンは5000万円だ!」と塗り替えてしまう。
ははぁ、なるほど。「自分はこんなもんだ」という思い込みを捨てて、「俺なら今の10倍は稼げる!」と思い込むわけですね。
そうですそうです。大谷翔平とか、ソフトバンクの孫さんみたいに何百億、何千億みたいなスケールは無理でも、年収10倍なら充分実現できると思っています。
なるほど。実際、起業して年収10倍になる人とか普通にいますもんね。
ええ。そういう人たちはやっぱり、「稼げる」と思ってやっている。逆に言えば、「稼げるなんて考えたこともない」という人は、やっぱり稼げないわけですよ。
つまり認識通りの結果になっているわけですね。
そうそう。もちろん収入を10倍にするわけですから、その道のりは決して楽ではありません。でも、コンフォートゾーンを塗り替えて「絶対に5000万円稼ぐ!」というマインドになった人のもとには、自然と機会や情報が集まってきます。いや、より正確に言えば、もともとそういう機会や情報は周囲にあるんですが、マインドが低いとそれに気付けないんですよね。
ははぁ、なるほど、おもしろいですね。視座が変わることで、見えないものが見えるようになる。
そうそう。本当にそういうことが起こるんです。
とはいえ、日本人って自分の能力を低く見積もる人の方が多いですよね。これ、何が原因なんでしょう。
一概には言えませんが、そういう人って謙虚なんじゃなくて、むしろ怠惰なんですよ。「できれば考えたくない。できれば楽したい」という人なんだと思います。脳ミソに汗をかくのが嫌で、思考停止状態になっているというか。
ああ~、なるほど(笑)。確かにそうかもしれない。
まぁ、それをもっともらしく言うなら、いわゆる「現状維持バイアス」ですよね。給与や待遇に不満があっても、現状を変える方が大変だからそれに甘んじてしまう。全然コンフォートじゃないのに、コンフォートだと錯覚してしまうというか。
なるほどねぇ。まして、「よし、年収を10倍にするぞ!」なんて考えない。
そうなんです。何しろその人にとっては、「現状がコンフォート」なわけで。
ははぁ、なるほど。だからこそしっかり「コンフォートゾーンを塗り替え」ないといけないんですね。そしてそれさえできれば、行動も自然と変わり、年収もどんどん増えていく。…でもやっぱり、なかなかハードル高い気がしますね。「年収10倍にするぞ!」なんて言い出したら、同僚から「頭おかしくなったのか?」なんて言われてしまうだろうし。
確かに、日本って周りのことをすごく気にしますもんね。同調圧力が強いというか。
そうそう。政治にしたって「どうせ俺が投票しても変わらない」みたいな諦めがはびこっている。それはつまり「どうせ年収は上がらない」という思考にも通じる気がします。
仰る通りだと思います。最初から諦めているから行動も変わらない。結局、思ったとおりになっているんですよ。「どうせ上がらない」と思っているから上がらないんです。
わかります。その割に「なんでこんなに年収が低いんだ!」と文句は言うんですよね。それが嫌なら今すぐそんな会社辞めて、転職したり起業したりすればいいのに。
そうそう。シンプルなことなんですよ、実は。
それに実際、思い切って独立してみたら稼げる人は案外多いんじゃないかと思っていて。そういう意味でも、もったいないなぁと思っているんですけどね。
そうなんですよね。みなさんが考えているより稼ぐチャンスってたくさんある。でもそれに気付けないし、仮に気付いたとしても、日本って「稼ぐ=卑しい」みたいな刷り込みもあったりして、なかなか手を出せない。
つくづくもったいないです。ビジネスってすごく楽しいし、稼げるってことはそれだけ世の中の役に立ってるってことなのに。
ああ、それでちょっと思い出したんですけど、以前息子たちにお金の捉え方や認識について話したことがあって。
へぇ、どんな話をしたんですか?
お金をたくさん持ってる人ほど「世の中に多くの価値を提供して貢献してる人」なんだよと。つまり、お金を持ってない人は、世の中に貢献できていないということなんだ。お金というのはそういうものだと捉えなさい、みたいなことですね。
ああ、良い話ですね。本にしてもいいかも(笑)。
ありがとうございます(笑)。ということで、「お金は汚いものでも、卑しいものでもない」と正しく認識して、そしてコンフォートゾーンをバシッと塗り替える。これできっと年収は10倍になります!
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。