大阪・兵庫を中心に展開する、高価買取・激安販売がモットーの『電材買取センター』。創業者である株式会社フジデン代表・藤村泰宏さんの経営に対する想いや人生観に安田佳生が迫ります。
第13回 電材買取センターは、まるで行きつけの喫茶店
前回の対談で、『電材買取センター』の女性スタッフさんたちは、お店に来る職人さんとのコミュニケーションが上手だとお聞きしました。どれくらい上手かと言うと、職人さんたちが自発的にお店の仕事を手伝ってくれるほどだとか(笑)。
そうですね(笑)。重たい商品は自分で運んだり、店内の照明が切れていたら電球交換までしてくれたり。本来は店舗スタッフがやるべきことを、率先してお手伝いしてくださって…ありがたいことです。
でも、そういうことまで職人さんがやってくれちゃうなら、スタッフさんたちはどんな仕事をするんです?
うーん、なんでしょう。メイン業務は「会話」ですかね(笑)。
なるほど、面白いなぁ(笑)。ちなみに職人さんたちって口下手な方が多い印象なんですけど、実際はどうなんです?
そう思われがちなんですけど、実際はそうでもないですよ。工事に行った先で、そこのご家庭の方と会話することは当たり前にありますから。ただ圧倒的に「若い女性」と話す機会は少ないと思いますね。
となると、20代女性が多いという電材買取センターのスタッフさんとは、なかなか喋りづらいんじゃないですか?
そうそう。だから最初の頃はちょっとモジモジしている職人さんも多いです(笑)。
笑。「どんな話題で会話すればいいんだ?」って戸惑っちゃうんでしょうね。
そうそう(笑)。だからこそウチの女性スタッフたちから積極的に話しかけにいって、お客様をおもてなしをするんです。「居心地のいいお店やな〜」って思っていただけるように。
なるほどなるほど。だからメインの仕事が「会話」になるわけですね。ちなみにどんなことを話しているんでしょう?
やっぱり職人さんなんで、工事の話をしている時が一番会話が弾むみたいですね。「この電材はこうやって使うねん」とか「その工具はこうやって使って工事するんやで〜」とか。女性スタッフにいろいろ教えてくれるんです(笑)。
ははぁ、なるほど。つまり電材買取センターで働けば、エアコン工事のことや材料や専門道具なんかについても学べちゃうわけですね!
そうなんですよ。お客様の方が商品についてもよく知っているから、ウチのスタッフも「あ〜そうやって使うものやったんですねぇ!」なんて勉強させてもらったりして(笑)。
良い関係性ですねぇ(笑)。でも職人さんによっては「なんで自分のところで扱っている商品について何も知らないんだ」って怒っちゃいませんか?
いや〜そういう方はいないですね。というか、逆に僕みたいな「工事経験者」が接客すると、商品知識がある分、ついつい口を出してしまうんですよ。「その用途で使うならこっちのテープの方がいいですよ」なんて。それで「いらんこと言うな」って怒られてしまう(笑)。
ああ、なるほどなぁ。むしろ何も知らないスタッフさんの方がスムーズなわけですね。
そうそう。やっぱり職人さんたちは「この道何十年」といったプロなので、こだわりの道具とか材料とかがある。そこに勝手に踏み込んだアドバイスをしてしまうと、むしろ印象が悪くなってしまうというか。
ふーむ。私のような素人の考えだと、藤村さんみたいな「何でも知っている人」に接客してもらいたい気がしますが、そうではないんですね。
そうなんです。ウチにいらっしゃる方の95%は経験豊富なベテラン職人さんなので。だからスタッフも「店内のどこに何が置いてあるか」さえ把握して、そこにサッとご案内できればOKで。細かな商品知識がなくても全然問題ないんです。
なるほどなぁ。それにしても、お話を聞けば聞くほど電材買取センターの「店舗スタッフ」って、なんだか不思議な接客業ですよね。お客さんと楽しく会話して、居心地の良さを感じてもらえればいいわけでしょう? そうすればお客さんは勝手に商品を買って行くし、不要なモノも売りにきてくれる。
そうですそうです。過度な接客をしなくても、お客様が全部セルフサービスでやってくださいます(笑)。このシステムはなかなか理解されづらいんですけどね。
はい、正直わからないです(笑)。もしかすると職人さんにとって「電材買取センター」って、行きつけの喫茶店みたいな感覚なんじゃないですかね?
ほぅ、喫茶店ですか?
ええ。行きつけの喫茶店って、コーヒーを飲みに行くというよりは、マスターやウェイトレスさんと他愛もない日常会話をするのが楽しみで行くと思うんです。それと似ているんじゃないかと。
あぁ、なるほどなるほど。確かにウチに来るお客様も、スタッフと話がしたくてお店に寄ってくださる方が多いかもしれない。「喫茶店」という表現、すごくわかりやすいです(笑)。
笑。喫茶店に来る感覚で電材買取センターに来て、コーヒー代の代わりに電材の売買をすることで成り立っている…つまり「電材買取カフェ」というわけですね(笑)。いや〜実によくできていますね!
対談している二人
藤村 泰宏(ふじむら やすひろ)
株式会社フジデンホールディングス 代表取締役
1966(昭和41)年、東京都生まれ。高校卒業後、友禅職人で経験を積み、1993(平成5)年に京都府八幡市にて「藤村電機設備」を個人創業。1999(平成11)年に株式会社へ組織変更し、社名も「株式会社フジデン」に変更。代表取締役に就任し、現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。