第41回 9月に年末の予約を入れてもらう方法

この対談について

「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。

第41回 9月に年末の予約を入れてもらう方法

安田

今年ももう終わりますねぇ。ちなみにお店は年末も忙しいですか?


岩上

ええ。12月は一番忙しい時期です。新年に向けて髪の毛をキレイにしたいというお客様が多いので。

安田

ははぁ、なるほど。じゃあ12月から新年にかけては、お休みもなく毎日働き詰めですか?


岩上

いやいや、そんなことはないですよ(笑)。ちゃんとお休みの日も確保してはいますが、営業時間は既存のお客様でしっかり予約が埋まっている状態です。

安田

ははぁ、さすが人気店ですね。でも、つまりもう新規のお客さんは受け入れていないってことになりますか。


岩上

まぁそうなんですけど、そもそも年末って新規顧客が一番少ない時期なんですよ。というのも、「キレイな状態で年越しをしたい」って思っている時に、初めてのお店に行くのってリスキーだと思いません?(笑)

安田

確かに(笑)。「いつものお店」で「いつもの髪型」にしてもらうのが間違いなさそうです。


岩上

お店側としても、新規のお客様はカウンセリングを含めてかなり時間がかかってしまうので、忙しい年末だと「コスパが悪い」わけですよ。それよりも既存のお客様にオトクな情報やオススメ商品をお伝えする方が売上も伸びますから。

安田

ふ〜む、なるほど。さすが経営者、そうやって利益率の高い時間を作り出すわけですね。


岩上

ええ(笑)。忙しい時にしっかり稼がないとダメです。もっとも、マハロコだと12月の予約って9月の時点から埋まっていっちゃうんですけどね。

安田

え、そんなに前からですか?


岩上

そうなんですよ。年末が忙しいことは皆さんわかっているので、まず12月の予約を取ってしまう。そこから逆算して「じゃあ11月はこの日」「10月はこの日」と逆算して取っていくという感じです。

安田

なるほどなるほど。でもそこまで先が見えていると、お店側としても管理しやすいですね。そりゃお休みもしっかり確保できるわけだ。


岩上

仰るとおりです。もちろん9月の時点ですべての枠が埋まりきってしまうわけじゃないんですけど、10月11月となっていけば隙間もどんどん埋まっていって、最終的には全枠が予約で埋まります。

安田

いやぁ、素晴らしいですね。ちなみに一般的な美容室って休みも少ないし、夜もわりと遅くまで営業しているイメージがあるんですが、マハロコさんはどうですか?


岩上

ウチは完全週休二日制ですし、営業時間も基本的に10時〜18時ですよ。

安田

ははぁ…お客さんの来店頻度や予約時間をうまくコントロールできているからこそ、勤務時間も短くて休みもしっかり取れるわけですね。同時に売上もしっかり確保できると。


岩上

仰るとおりです。僕はいつもお客様に「自分の時間をちゃんと取れている人ほど豊かな人生を送れるんですよ」なんて言っているんですが、僕自身もそれを心がけていまして。

安田

あぁ、わかります。「空いた時間に髪を切りに行こう」って思っていても、そんなに都合よく時間は空きませんもんね。それで結局、ものすごく忙しい時間に無理やり行くはめになっちゃう(笑)。


岩上

そうそう(笑)。例えば僕は体のメンテナンスのために整体に通っているんですが、いつも同じ来店周期で、同じ時間帯に行くようにしているんです。日々のルーティンの中にあらかじめ組み込んでいるというか。

安田

最初から「この時間に行く」と決めておいて、それに合わせて他のスケジュールを組む。私もそういうタイプなのでよくわかります。ちなみにそんなに予約で埋まっているのなら、「今から行ってもいいですか?」って電話してくるお客さんにはどう対応するんです?


岩上

チケットを買ってくださっている方ならもちろん対応させていただきますよ。それがチケット購入の1つの特典でもあるので。でもそれが完全な新規の方であれば、申し訳ないですが基本的にお断りさせていただきますね。

安田

なるほどなぁ。一般的なビジネスの考え方だと、新規獲得のチャンスを逃すなんて、と思われちゃいそうですけど。


岩上
仰ることはよくわかるんですけどね。でもお店側としても、その日のスケジュールに合わせて準備や心づもりをしているので、それを乱してまで新規を取ることはないです。無理に入れ込むと常連さんにもご迷惑がかかりますし。
安田

なるほど〜。素晴らしいですね。それにそもそもそういう「今日切って下さい」っていう飛び込み客って、リピーターになる確率もそう高くなさそうですしね。


岩上

そうなんですよ。結論、いつも来て下さる常連さんをできる限り大切にするほうが、お店としてもいいんです。もちろん、常連さんができるまではできる限り対応すべきだとは思いますけどね。

安田

なるほど。そのあたりの考え方が明確だからこそ、お客さんも安心でしょうね。ちなみに、事前予約してくれる新規客はOKですよね?


岩上

それはもちろん大歓迎です! 十分なカウンセリングの時間も確保した上で、しっかり施術させていただきます!


対談している二人

岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表

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美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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