第274回 研究開発者たちの思い

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/研究開発者たちの思い

 

「業界トップリーダー」として、常に「革新的」な取り組みに挑み、「新商品」を世に送り出してきた某大手さんですが、近年は、毎年のように「開発予算が削減」され、、そんな中でも、さらなる「生産性向上、業務効率化」は求められているようで、「技術開発部門(RESEARCH & DEVELOPMENT)」の方々にとっては、なかなかに簡単ではない現状があります。

そんな「R&Dの精鋭たち」が集う「研究開発マネジメント研修」では、彼らの「本音、やりきれない思い」が溢れ出ます。

◆まだ誰も見たことのない未来に、あと少しだったのに、、

「ようやく道筋が見えてきたんですよ。何年も失敗して、ようやく小さな光が見えた。それなのに『来年度は予算が半分になる』と言われたんです。じゃあ、僕らの何年間は、何だったんでしょうか。。」

◆数字にならない価値が、切り捨てられる、、

「R&Dは、『何かが生まれるまでの時間』に価値があるんです。今すぐ利益が出なくても、5年後に会社の柱になる芽が埋まってるかもしれない。でも、それを『今期の収益に貢献していない』と判断されてしまうと、もう、、報われないです、、」

◆削減が『当然』という空気が、一番つらい、、

「経営が苦しいのは理解できます。だけど、『研究開発費はもう少し削れるよね』という前提で話が進む。まるで、僕らが『贅沢品』のような扱いなんです。会社の未来を支えるのが研究なのに、その空気が一番こたえます。。」

◆挑戦する心が冷えていく、、

「アイデアを出すって、ある意味『感情の仕事』なんです。ワクワクがあって、失敗してもまた立ち上がって。だけど予算が削られ続けると、だんだんと『無難な案』しか出せなくなる。。挑戦が怖くなるんですよ。。研究の魂が冷えていく感覚があります、、」

上記のようなやりきれない思いを語るだけではなく、それでも前を向いて、「輝かしい未来」を目指して、精鋭たちは語り合います。

その後の懇親会で、ポツリと漏らした言葉も印象に残っています。

「ウチらには『予算を減らせ、減らせ』って社長は言ってくるけどさ、たまに連れられるゴルフでは、『新しいクラブ買うたんや』『どや?ええやろ』なんて言ってくるんよ」

「ゴルフクラブを買う金には糸目をつけないんよな。。」

やっぱり人間って、興味・趣味にはどれだけ注ぎ込んでも惜しいとは思わない生き物なのですね。

 

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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