「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。
第81回 ブラックな社長が一番充実感を覚える瞬間

ああ、それって最高の褒め言葉ですもんね(笑)。ただですよ、社員に仕事を楽しんでもらいたいとは言え、「誰がやっても楽しい仕事」が世の中に存在するわけじゃないと思うんですよ。あるのはそれを「楽しいと思える人」と「思えない人」なんじゃないかって。

そうそう。そう考えると結局、仕事内容そのものより本人の捉え方の問題なんだろうなと。石を積んでいると思うか、教会を作っていると思うか、世の中を変えようとしていると思うか。ただね、そういう感覚って経営者がコントロールできるわけでもないじゃないですか。

確かに、本人次第な部分はあります。でも、その人を採用するかどうかを決めるのは会社ですよね。仕事を楽しめるポテンシャルを持った人を採ること、これがまず大事なんです。ただ、本人任せにしすぎると、いずれ独立してしまうんですよね。だから「この環境にいる理由」を用意してあげないといけない。

ふ〜む。でも本当に独立志向の強い人は、どんなに環境を整えても、いずれ独立すると思うんですよ。「俺なら独立してもできるはずだ」と思ってしまう。だからこそ組織を作るなら、ある程度「会社に依存するタイプ」も採用せざるを得ない気がして。

確かに「仕事を心から楽しめて、かつ独立しないでずっといてくれる人材」だけで組織を作るって、難易度めちゃくちゃ高いですもんね。でもだからこそ僕は、目をキラキラさせながら仕事してくれている社員を見るとすごく嬉しいんでしょう。

ああ、なるほどなぁ。ともあれ私は雇用をする以上、会社に多少依存したり、不満を感じたり、ぶら下がったりする人材が含まれるのは仕方ないと思っていて。経営者志向の人と会社員志向の人は根本から違うと考えているので。

ああ、確かにそう考えると、経営者志向の人を社員にするというのは正攻法ではないんでしょうね。実際うちの社員全員が100%そっち側にいるわけではないですし。ただ一般的な会社と比べると、マインドの高さはかなり高いと思っています。そういう人をこそ採用で選んでいるので。
対談している二人
西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社 代表取締役 最高経営責任者
1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数20万人とSNSでの発信も積極的に展開している。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。