第290回 画面越しの社風

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/画面越しの社風

 

「オンライン研修って『社風が丸見え』になるんですね」

そんな「気づき」をいただいたのは、「年間100本ほど」のオンライン研修に携わるなかでの出来事。

某大手さんでの「法規研修や財務研修」

どちらも多くの受講生にとっては「得意分野」とは言えない、いやむしろ「苦手意識」を持ち、身構えてしまうテーマ。。

しかも9時-17時という長丁場な、終日オンライン。。

画面越しに見えるみなさんの表情は、時がすぎるごとに明らかに「疲れの色が増しまくり」なのであります。

一方、別の大手さんでは、「コンプライアンスやハラスメント」を扱う管理職向け研修を、こちらもオンラインで。

会社から「管理職になるねんから、『この程度の知見』は持っておいてくれやな困るで」と半強制的に集められ、、

「まあ、義務だから受けておかなあかんな、、」という空気感が前面に出ているような場でありました。

内容だけ見れば、どちらも「関心が低くなりがちで、積極的に自分ごとにするのは簡単ではないテーマ」です。

ですが、両者には「明確な違い」があらわれたのです。

ひとつの会社では、Zoomの「チャット」がどんどん流れていきます。

「◯◯の話、初めて知りました!」

「こんなん、現場でよく出てくるよな」

「 △△ってどういうことですか?」

「感想や質問」だけでなく、ちょっとした「共感のつぶやき」や、「それ笑うわ」と、講師やお互いの発言に対する反応がツラツラと止まることはありません。

一方の会社では、画面は沈黙。。チャットも静寂。。

まるで「無音の美学」を貫くかのような静かな空間なのです。

そんな状況ですから、気になって終了後に人事部門の方にうかがってみたのです。

「あまり質問も出なかったですね、、」

「反応が良くなくて、申し訳ございません、、」

「日頃はどんな感じなんですか?」

すると、、

「ああ、気にしないでください」

「講師が話している時にチャットを打つなんて『マナー違反』だと感じてる人が多いんですよ」

「会議中でも、上司が話しているときに余計な口を挟んだら、白い目で見られるような、そんな文化ですから、、」

と、逆に申し訳なさそうにお答えくださるのです。

チャットが飛び交う職場と、それはマナー違反やと静かに見守る職場。

画面越しでも、空気感や関係性が、じわりと伝わってきます。

オンラインでは、意図せず「普段の会社の表情」がにじみ出るものなのですね。

どちらが良い悪いではありません。
ですが、「こうも違うのか!」と、驚くほど。

オンライン研修でこそ見えてくる「ウチの会社らしさ」

画面越しの空気に、社風は滲むものなのであります。

 

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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