第91回 人口が半減した日本に訪れる「豊かさ」とは?

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第91回 人口が半減した日本に訪れる「豊かさ」とは?

安田

今日は少し未来の話をしたいんですが、日本の人口が今の半分である約6400万人になるのが2080年よりは手前だと言われていますよね。


藤原

は〜、もう50年もないんですね。

安田

そうなんです。ただ私はむしろ「人口が半分になった日本」をすごく見てみたくて。いったいどんな世界になっているんだろうと。


藤原

ほう、なるほど。確かに興味深いですね。

安田

でしょう? まぁ私が実際に50年後の世界を見られるとは思いませんが、我々の子ども世代は、その全く新しい日本をリアルに体験するわけです。未来は不安だという人が多いですけど、私からしたらむしろ羨ましいですよ。


藤原

日本だけでなく、世界全体の人口もピークアウトすることは確実だと言われてますからね。テクノロジーが進化して利便性は高まる一方で、人間そのものの数が減っていく。

安田

ええ。日本の人口が6400万人だったのは明治時代あたりですけど、50年後の日本が当時のような社会に戻ることはあり得ませんからね。


藤原

それはそうでしょうね。同じ人口規模でも、使えるテクノロジーが全く違いますし。過去からは未来を予測できないということですね。

安田

ええ。AIやロボットが労働力を補い、今よりも遥かに生産性の高い社会が実現しているはずです。そう考えると、1億2000万人だった頃よりも豊かな国になっている気がして。


藤原

なるほど。人口は少なくても、生活の利便性は遥かに高いわけですもんね。

安田

そうそう。まあ、人口減に対する期待の裏には、私自身が人混みが苦手というのもあるんですけど(笑)。美味しいお店がたくさんあったり、利便性が高いという利点で東京に住んでますが、人が集まる場所はなるべく避けて生活してますからね。


藤原

でも人口が減っても「都市集中型」になって、人口密度はそう変わらないかもしれませんよね。

安田

その可能性はありますね。だけどドローンによる配送が当たり前になって、遠隔医療が普及すれば、地方やへき地でも都市部と変わらない生活水準を維持できるかもしれない。そうなれば都市部の過密状態は避けられるんじゃないかと。


藤原

確かに。生活インフラも想像を超えたレベルで進化していくかもしれませんからね。

安田

ええ。例えば空気中から水を取り込んで水道管がなくても蛇口をひねれば水が出るようになるかもしれない。そう考えると、子どもたちがいずれそんな世界に立ち会えると思うと羨ましくて。


藤原

本当ですね。満員電車もなく、広々とした空間で暮らせるようになるとしたら、楽しみですよね。

安田

少子化が始まった頃、子どもは「4つのポケットを持っている」なんて言われてましたよね。4人の祖父母からいろいろ買ってもらえてリッチな孫が増えていくと。それと同じで、人口が減れば、先人たちが築いたインフラや資産を、より少ない人数で享受できるようになるわけです。


藤原

仰るとおりですね。土地も資源も、一人当たりで考えれば遥かに豊かになっていく。それを豊かだと感じる感性があるかどうかは、また別の問題かもしれませんけど。

安田

そういう意味では、環境が大きく変わる中で、今ある豊かさの指標も変わっていくんじゃないですかね。どう思います?

藤原

そうですね、GDPのような経済規模から、個人の幸福度やQOL(生活の質)へとシフトしていく気がします。「自由時間の長さ」とか「自然にどれだけ触れたか」が、国の豊かさを測る新しい基準になるのかも。

安田

なるほどなるほど。今の日本人は物質的には豊かでも、その豊かさを実感しにくい気がしますけど、未来にはもう少し上手になっているのかもしれませんね。

藤原

過密な社会で麻痺してしまった豊かさへの感度が、人口密度が下がることで再び正常に機能し始めるということですね。

安田

ええ。そうなればもっと身近な幸せを感じられるようになるでしょう。

藤原

う〜む、素晴らしいことですが、たった50年でそこまで変わってしまうんですね。

安田

そうですよ。我々が生まれてからの50年間でも大きく変わりましたし、それぐらいの変化はあると思いますね。

藤原

そうか、本当ですね。もし死後の世界があったら、のぞきに来たいなぁ(笑)。

安田

いいですね(笑)。それを楽しみに、想像を巡らせることとしましょう。


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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