この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
第132回 子どもに「お金儲け」を教えるのは善か悪か
第132回 子どもに「お金儲け」を教えるのは善か悪か

ほう、いいですね。アメリカだと小学生の頃から株式投資のやり方を教えるって言いますもんね。

これまでの日本であれば「就職」さえできればお金を稼ぐことはできていました。でもこれからAIがどんどん進化していくに連れて、会社も人を雇わなくなると思っていて。そうすると「会社員じゃないとお金を稼げない人」が困ってしまうわけですよ。

そうなんですよ!(笑) でも今の日本の教育を受けて大人になってしまうと「就職」以外のお金の稼ぎ方がわからないんです。だからこそ私は、子供の頃から「商い・商売」を教えた方がいいんだろうと思っているわけです。

さらに言えば、商売の中でも、特に「BtoB」という領域を早く教えるべきだとも思っているんです。

え、BtoBですか。BtoCじゃなく?

はい。BtoCって普通に生活していたら自然と目に入ってくる領域ですよね。でもBtoBは、そういう事業をやっている企業に就職しない限り覚える機会があまりないわけです。だから子どものうちからBtoBという「企業向けにサービスを提供してお金を稼ぐ」という訓練をさせた方がいいと思っているんですよ。

なるほど(笑)。ちなみに僕の周りで実際に自分で会社を作った人って、「いい会社に就職できなかったから一発逆転を狙って起業した」っていう人が多かったかもしれない。社会や会社という組織に馴染めなかったから自分1人でやる、というような(笑)。

わかります(笑)。いい大学を出た人は、大企業に就職したり官僚になったりするのが「ゴール」であって、「自分で会社を作る・商売する」という人は少なかったですからね。でもこれからの時代、就職をゴールにしていても「安定した生活」なんて望めない。だからこそ子どものうちからお金儲けを教えた方がいいと思うんです。

僕も安田さんのお話を聞いていて、そのとおりだなと思うようになってきました。それこそ自分の親がどうやってお金儲けをしているのか、お金がどうやって回っているのか、そういうことに興味を持てる思考を育てていくことが必要なんでしょうね。

ちなみに私は、子どもにはお小遣い制ではなくて、何かしらの労働などに対する対価として報酬を払うやり方でお金を渡すのがいいと思っているんです。でも中には「そんなやり方だと子どもがお金中心の考え方になってしまって、ろくな大人にならない」なんて言う人もいて…。鈴木さんはどう思われますか?

何もやらずにお小遣いをあげるよりは、全然いいと思いますけどね。そもそも商売って、誰かの役に立たないとお金にならない。誰かの役に立って喜ばれて「ありがとう」という気持ちがお金になるんだよ、と教えればいいんじゃないでしょうか。
対談している二人
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















