人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第99回 「ゼロサムゲーム」から「美意識」の経営へ

そうですね。そういう意味では、ゼロサムから完全に抜けているわけではないんです。競業との勝負に巻き込まれることがないわけでもないですし。ただそこに偏り過ぎないよう、常に自分を俯瞰して見ている感じです。

そうそう。それにむしろ非数字的、非ゼロサム的な視点を持つことで、売上や利益や採用という現実的な部分にいい影響を与えることもあるんです。社員もお客様も、数字数字言っている会社より、「おもしろさ」や「美しさ」を追求する会社とつきあいたいじゃないですか。

ああ、すごくわかります。私もずっと、会社は「自分の芸術作品」だと思ってきましたから。「儲かるからこの事業をやる」という発想には、昔から全く興味が持てなくて。「世の中にまだないものを生み出したい」という欲求がまず先にあるんです。

そうそう。それでね、そういう感覚で書かれた絵は、結局のところ多くの人には売れないと思うんです。順番が大事で、「どうしても表現したいもの」がある。それをアートとして表現した結果、初めて強く共感する人が現れて売れていく。

「お金になるかどうか」からスタートするケースが多すぎるんですよ。しかもそういう経営者の方が「まともだ」「能力が高い」と、多くの経済人から評価されている。でもその風潮も今後は変わっていく気がしますね。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















