第118回 「家に着せる服」と「自分が着る服」の共通点

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第118回 「家に着せる服」と「自分が着る服」の共通点

安田

中島さんは「ガーメントデザイナー」として庭づくりをされてますが、これは「家に着せる服(=庭)のデザイナー」という意味で付けられてますよね。


中島

ええ。家と庭の関係を、服と人の関係になぞらえて名付けていただきました。

安田

現代風の住宅に合わせた、その家にぴったりの庭をデザインするというコンセプトですよね。そんな中島さんが、ご自身のファッションにはどのくらいのこだわりを持っているんだろうと、ふと思いまして。


中島

ファッションのこだわりですか。うーん、どうでしょう…絶対に試着してから買う、くらいでしょうか(笑)。

安田

なるほど。でも大事ですよね。ネットでサイズだけ見て買ったりすると、大失敗することもあるので。


中島

ええ。ただ地元にそこまでたくさんお店が揃っているわけではないので、いろんなブランドを扱っているセレクトショップに行くことが多いですね。そこで実際に着てみたり、お店の人と話して「こういう組み合わせがいいんじゃないか」とアドバイスをもらったり。

安田

ほう、なるほど。やっぱり「家をおしゃれにする仕事」をされているだけあって、自分自身のおしゃれについても意識されてるんですね。


中島

それはあるかもしれません。とはいえ、仕事をしているときは基本的に作業着ですけどね(笑)。

安田

ああ、そうか(笑)。ちなみにお客さんのところに初めて行くときは、おしゃれな恰好で行くんですか?


中島

いえ、そこもわかりやすく作業着で行きます(笑)。もちろん、小ぎれいな感じにはしてはいきますけど。会社のポロシャツを着て、その上に上着を一枚羽織っていくような感じですね。

安田

そうか。確かにバシッとスーツで来られても、それはそれで不自然ですもんね。


中島

そうなんです。あと僕の場合、打ち合わせのときにそのまま現場に入って、現地を測ったりもするので。あんまりきれいな格好をしていくと、動きにくくなってしまって。

安田

ああ、なるほど。じゃあ最近流行りのワークマンみたいなところで、おしゃれな作業着を買ったりするんですか。


中島

確かにズボンはワークマンが多いですね。あそこのズボンはすごく動きやすいので。あとは靴とか上に羽織るカーディガンとかは、行きつけのセレクトショップで買うこともありますよ。以前、安田さんも着ていたトゥモローランドとか。

安田

ああ、昔よく着てましたね。あそこ自体がセレクトショップですからね。


中島

そうなんですよね。安田さんのポッドキャストを聞いて、「あ、今自分が着てる服と一緒だ」って気づくこともありました(笑)。

安田

そうでしたか(笑)。私はそこからだいぶ移り変わって、最近はもうラルフローレンばっかり着てますね。ちなみに中島さんは、デザイン性と機能性だったら、どっちを優先して選びますか?

中島

うーん、やっぱり動きやすい方がいいですね。普段から動きやすい服装で仕事をしているので、休みの日でも窮屈な服を着るのが苦手になってしまって。

安田

おしゃれだけど動きにくい服は、あまり好きじゃないと。今やスーツでもストレッチが効いてるのが流行ってますしね。昔は「おしゃれは我慢」なんて言われて、寒くても足を出したり、ピチピチの服を着たりしましたけど。そういう選び方はしないんですね。

中島

そこはもう、庭の「動線」と一緒です。使いにくくておしゃれなだけの庭は、やっぱり嫌だなと思ってしまいますから(笑)。

安田

面白いですね(笑)。でも「動きやすさ」を突き詰めるとユニクロなどのファストファッションに行き着くような気がするんですけど、そういう服は着ないんですか?

中島

そういえばあんまり着ないですね。ヒートテックとかは着ますけどね(笑)。機能優先の肌着は着るけど、アウターはあまり選ばないかもしれない。

安田

わかります。私も肌着とかは買いますけど、やっぱりシャツとかズボンとかはユニクロじゃ買わないですもんね。気分が上がらない気がして。

中島

ええ、まさにそんな感じです。やっぱり新しい服を買うと、気持ちも高まりますから。自分へのご褒美みたいなとこもありますよね。趣味の中では、服にかけるお金が一番多いかもしれないです。

安田

へぇ、そうなんですね。でもデザイナーさんは、そういう感性が大事なんでしょうね。

中島

すごく高いものが欲しいとか、物欲みたいなものはないんですけどね。「自分に似合う×格好いい服」を見つけるアンテナは張っていきたいなと思います。


対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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