「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。
第99回 トゥモローゲートの面接に通りたいなら…

最近の採用市場を見ていると、アッパー層の即戦力も変わらず人気ではあるけれど、むしろ新卒や未経験、20代のポテンシャル採用に注力する企業が増えている印象です。トゥモローゲートさんもそっちだと思うんですけど。

僕の場合、最終選考で一番見ているのは、「この子と一緒に仕事したいと思えるかどうか」ですね。例えば挨拶一つ取ってもそうですし、僕が言ったことに対しての聞く姿勢や素直さなど、様々な面の積み重ねなんですけど。

でも、ポテンシャル採用だと、社会人経験が浅かったりして、社会人マナーがちゃんと身についていないケースもありそうじゃないですか。磨けば光る才能があるのに、挨拶の仕方だけで落としちゃうのはもったいなくないですか?

そうですね…言語化するのは難しいんですが、相手の目を見る、表情が良い、みたいなところでしょうか。もちろん挨拶だけじゃなく、会話のキャッチボール感とか、いろいろあるんですけどね。いずれにせよ僕は最初の1~2分で“採るか採らないか”をある程度決めてしまうことが多いです。

なるほど。例えばすごくポテンシャルがあり、コミュニケーション力や素直さ、地頭も申し分ないけれど、トゥモローゲートについてはあまり勉強してきてない子と、ポテンシャルは普通だけど、トゥモローゲートをものすごく研究していて志望度が高そうな子がいた場合、どちらを優先しますか?

前者ですね。「知らないだけ」ならこちらから伝えればいい話なので。一方で「トゥモローゲート大好き!入りたい!」という思いは、もちろんマイナスにはなりませんが、それだけで採用するかと言えばそれはノーです。

なるほど。ちょっと話が逸れますけど、面接で落とした子にその後どこかで再会したことってあります? 実は私はけっこうあって、会社が潰れて個人事業主になってから、仕事で会った人に「実は以前ワイキューブ受けてたんです」って告白されるっていう(笑)。そういう経験、西崎さんもあります?

めちゃくちゃあります(笑)。社内のイベントや勉強会、経営者交流会を開催してるんですが、過去にウチを受けていた人もよく来てくれるので。その中には、「なんでこんな優秀な子を落としたんだろう」という子もたくさんいますよ(笑)。

そうですね。さっき話した通り「一緒に仕事したいと思えるかどうか」が一番大きいんですが、事実ベースで答えると、今いるメンバーに共通しているのは、“何かしら準備した上で面接に臨んでいる”ということです。

なんらかのアウトプットを持ってくるってことです。デザイナーなら、トゥモローゲートの課題を解決する企画やデザイン案を持ってくる。営業なら、交流会に参加して「トモロゲートに興味を持ちそうな会社」のリストを作って持ってくるとか。

そうですそうです。面接では基本的に「過去」と「今」の話をするわけですが、未来をイメージさせる行動を事前に準備して持ってくる子は、「成果出してくれそうだな」と思えます。そういう子が受かってる印象がありますね。
対談している二人
西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社 代表取締役 最高経営責任者
1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数20万人とSNSでの発信も積極的に展開している。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















