【vol.354】2025年ホスピタリティのトレンド⑨

GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜 著者:小出 紘道


引き続き、Lighthouseという欧米のホテルマネジメントサービスが「ホテル&ホスピタリティ業界の動向」をまとめている記事がビジネス的に参考になりそうなので、読んでみたいと思います。

今週の記事はこれ。
The top 10 travel and hospitality trends that will shape 2025
(2025年に表出するホスピタリティのトレンドトップ10)
https://www.mylighthouse.com/resources/blog/top-10-travel-and-hospitality-trends-2025

トップ10のトレンドは下記の通りです。

1.Consumer caution continues into 2025, but the desire to travel remains
2.Optimism grows for Asia-Pacific hoteliers amid rising travel demand
3.India’s luxury hotel sector: A star on the rise
4.The steady advance of short-term rental growth
5.The evolution of event-driven travel: New patterns emerge
6.The rise of authentic travel beyond tourist hotspots
7.AI adoption will transform Revenue Management
8.The rise of Total Revenue Management and the search for ancillary revenue
9.Personalization will be the new standard in 2025
10.The distribution landscape in 2025, one of evolving challenges

 

引き続き「9.Personalization will be the new standard in 2025」を見ていきたいと思います。

9.Personalization will be the new standard in 2025
2025年にはパーソナライゼーションが新たな標準となる

 

The definition of hospitality is always evolving. Today’s guests don’t just see a hotel as a room for the night, they invest in an experience. This fundamental shift demands a new approach to personalization, one that anticipates needs before they arise.

ホスピタリティの定義は常に進化している。現代のゲストはホテルを単なる宿泊施設とは見なさず、体験への投資と捉える。この根本的な変化は、ニーズが発生する前に予測する新たなパーソナライゼーション手法を要求している。

 

Technology is making this level of service possible at scale. AI and predictive analytics are transforming how hotels understand and serve their guests.


テクノロジーがこのレベルのサービスを大規模に実現可能にしている。AIと予測分析は、ホテルがゲストを理解しサービスを提供する方法を革新している。

AI等のテクノロジーを活用することで、最新のパーソナライズが可能になるという話で、下記の3つが主軸になっているようです。

 

①Real-time engagement(リアルタイムエンゲージメント)
AI tools, including conversational interfaces, now deliver instant, personalized recommendations for everything from local experiences to dining options.

会話型インターフェースを含むAIツールは、現地体験から食事オプションまで、あらゆる分野で即時かつパーソナライズされた提案を実現する。

AIとその場で会話しながら嗜好性を汲み取ってもらって、商品やサービスや体験の提案を受けられるインターフェイスが増えてきているようです。
従来は「コンシェルジェ」とか「受付カウンター」の機能だったものです。

 

②Smart marketing(スマートマーケティング)
Marketing teams can also harness AI to create highly personalized email campaigns, offering tailored suggestions based on a guest’s previous stays and preferences. From room upgrades to bespoke dining experiences, these targeted campaigns enhance the guest journey while driving engagement and revenue for hotels.

マーケティングチームもAIを活用し、過去の滞在履歴や嗜好に基づいた高度にパーソナライズされたメールキャンペーンを展開できる。客室アップグレードからオーダーメイドのダイニング体験まで、こうしたターゲットを絞った施策はゲスト体験を向上させると同時に、ホテルのエンゲージメントと収益を促進する。

 

③Data-driven decision making(データドリブン型意思決定)
By analyzing preferences and booking patterns, hotels can optimize pricing, craft precise marketing offers, and create upselling opportunities that resonate with individual guests.

嗜好や予約パターンを分析することで、ホテルは価格設定の最適化、精密なマーケティング提案の作成、個々のゲストに響くアップセル機会の創出が可能となる。

②と③は連動しますよね。
私たち自身が「客室をアップグレードしてもらったホテルには、数ヶ月以内にリピートする」みたいな行動をパターン化させれば、その行動をAIが学習(誰をアップグレードさせると得か?を学習)してくれて「次回もアップグレードしてもらえる」みたいなライフハックが出来そうですね笑
よく考えたらライフハックというよりも、これが普通のビジネスのあるべき姿かもですね。

日本のホテルが、かつてでは考えられないくらい高くなっている背景には、(もちろん円安や海外のインフレもありますが)上記で述べられているようなテクノロジーを活用して厳密にシミュレーションすると「安い値段で日本人を獲得しなくても、高くても外国人を獲得できるからOK」となっていることがあるのでしょうね。
ホテル業界のこの状況、10年後くらいにどうなってますかね?

 

 

著者の他の記事を見る


「本コラムと、本業ビジネスとの関係」(著者・小出紘道より)

本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。

著者情報


小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)
◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ 代表取締役社長 http://citation-sp.co.jp
◆株式会社シタシオンジャパン 取締役会長 http://www.citation.co.jp
◆株式会社 イー・ファルコン 取締役 http://www.e-falcon.co.jp
<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた) ・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった) ・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった) ・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった) ・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)
著者ページへ

感想・著者への質問はこちらから