第352回 終わらないマンガ連載

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第352回「終わらないマンガ連載」


安田

久野さんはマンガなんて読まないですよね?

久野

読みますよ。ジャンプとか。

安田

おお!コミックで読むんですか?それとも単行本?

久野

面倒くさいので単行本でまとめて読みます。ワンピースも全巻持ってますよ。

安田

怪獣8号は?

久野

怪獣8号も全部読みました。

安田

すごい。ダンダダンは?

久野

ダンダダンもチェンソーマンも読んでます。

安田

ジャンプ大好きですね(笑)

久野

安田さんほどじゃないですけど。

安田

私はマンガを読むのが仕事ですから(笑)最近のマンガって深くなったと思いませんか?

久野

深いですかね。

安田

深いですよ。昔のマンガは仕事の役に立たなかったです。

久野

昔も役に立ってましたよ。

安田

実はわたし、23歳でマンガ読むのをやめたんです。役に立たないと思って。デスノートから復活しました。あれは衝撃でした。

久野

確かに。デスノートはめちゃくちゃ頭使います。

安田

ニュースになっていた「葬送のフリーレン」はご存知ですか?

久野

はい、読んでます。

安田

作者の体調が悪くて休刊するみたいです。昔だったら休刊なんて絶対にNGでしたけど。休んだら仕事がなくなる世界なので。休むやつが悪い、倒れるやつが悪いっていう。

久野

そういうイメージですよね。

安田

鳥山明さんもドラゴンボール以来描かなくなったじゃないですか。週刊マンガってホント休む暇がないらしくて。いくらお金があっても使う時間がないそうです。

久野

でしょうね。アイデア練って、ストーリー考えて、マンガを描いて。それを1週間でやらなくちゃいけない。

安田

それが漫画家という職業の宿命だったんですけど。さすがに時代は変わったようで。「葬送のフリーレン」は著者を休ませることを出版社が公言していまして。

久野

それがいいです。倒れるまで描き続けるっておかしいですよ。

安田

読者もそれを受け入れてくれて。「もう隔週か月間でいいんじゃないか」って気を使ってくれる人までいて。世の中変わったなって思います。

久野

これ、風穴開けたのがハンターハンターだと思います。冨樫先生が倒れちゃって。

安田

そうでした。でも倒れるくらいなら隔週にしてくれたほうがいいですよ。続きが読めなくなっちゃうので。

久野

ある程度ファンが増えたらペースを落としてもいいと思います。

安田

だけどワンピースは隔週だったら終わらないかも。キングダムも「終わるまで自分は生きているのかな」と不安になります。

久野

ワンピースも全然終わりそうにないですよね。

安田

ようやく終盤が始まった感じ。

久野

まだいっぱい伏線も残ってるし。あれ全部回収するだけで何年もかかりそう。

安田

こっちの寿命もありますから。ちゃんと終わりから逆算して描いてくれないと困ります。

久野

鬼滅は良かったですね。ちゃんと完結してくれて。

安田

せめて5〜60巻で完結してほしい。ワンピースもキングダムも著者が死んだらどうしてくれるんだって感じ。

久野

漫画の世界もワークライフバランスですよね。アニメーターの報酬も上げていかないと成り手がいないし。

安田

今までが過酷過ぎたんでしょう。冷静に考えたらマンガを週刊で何年も描き続けるって、命を削ってますよ。

久野

人気になると出版社もやめさせてくれないから。

安田

叩き起こされて原稿を描かされるんでしょうね。

久野

ようやくワークライフバランスが浸透してきて、いいことですよ。

安田

週刊誌はもう無くなっていくかもしれませんね。働き方に無理がありますよ。

久野

それも仕方ないですよ。

安田

せめて単行本の上限は決めて欲しいです。100巻までとか。

久野

キングダムは余裕で越えちゃいそうですね。

安田

最近は完結してから大人買いするようにしてます。確実に終わるのが分かってから読む。

久野

意地でも最後を知ってから死にたいっていう(笑)

安田

「あれ最後どうなるんだろう?」って気になって、死んでも死に切れません。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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