人間交換日記 27通目「ズレてはいません」安田

人間交換日記

「すべての人は、すごい可能性を秘めている」と信じる大野と、「多くの人は目的などなくただ存在しているだけ」と断ずる安田。人間の本質とは何か。人は何のために生きているのか。300文字限定の交換日記による言論バトル。


27通目/安田からの返信
「ズレてはいません」

ズレていると感じるのは、大野さんが持っていきたい方向とは違うからです。大野さんから見たらズレている。でも私から見たらズレていません。「歌が大好き。歌手になりたい。でも私は歌が下手だ!という解釈がある。さて、どうする?」この答えが名コーチのおっしゃる「努力」なのだとしたら、やっぱりそれはツマラナイです。確かにそれはひとつの答えではあるし、努力によって人生が変わることもあるでしょう。でもそれはすべてではない。「そこでは頑張らない」「その努力をしない」という選択肢もあるのではないか。そして、それこそが多くの人に新たな希望をもたらすのではないか。私は自らの体験からそう思わずにはいられないのです。

前回26通目/大野「論点をズラサナイデ!」

安田さんへ
論点をズラサナイデ!詰まるツマラナイを論じたい訳ではない。歌が大好き。歌手になりたい。でも私は歌が下手だ!という解釈がある。さて、どうする?
問題なのは多くの場合、この解釈が事実の如くその人の中で扱われ続ける事です。又、バスケの名コーチ、ボビー・ナイト曰く「勝つ意欲は大して重要ではない。そんなものは誰でも持ちあわせている。重要なのは、勝つために準備する意欲である」と。
僕が思うに未来の創られ方は二つあって、放っておいても起こる未来と、意図的に不自然な努力をして起こす未来。そして、制御可能(過程/準備)と不可能(結果)の区別は、究極、どんな人間で在りたいのか?この問いを呼び覚ましてくれる筈です。

ー大野より

 

前々回25通目/安田「その手法はツマラナイ!」

大野さんへ
練習時間がゼロだから歌が下手である、という事実にフォーカスする。そりゃそうなんでしょうけど、その手法はつまらないです。勉強ができないのは「私が努力してないからだ」ってことでしょ。そんなの当たり前じゃないですか。走るのが遅いのも、給料が安いのも、私の努力が足りないからだ。努力すれば今より早く走れるし、今より給料が増える。そりゃそうですよ。でもそれは解決策とは言えません。問いが重要であることには賛同しますが、問うべき内容を間違えてます。正しくは「私は早く走る必要があるのか?」「なぜ私はこの仕事をやっているのか?」という問いではないでしょうか。どこにフォーカスするかで答えは変わる。

ー安田佳生より

 

これまでのやり取り

交換日記をする二人



火曜日
安田佳生(やすだ よしお)

1965年生まれ、大阪府出身。
2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

●金曜日
大野栄一(おおの えいいち)
株式会社一番大切なこと 代表取締役
http://ichibantaisetsunakoto.com/
https://www.sugoikaigi.jp/coach/eiichiono/

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