「すべての人は、すごい可能性を秘めている」と信じる大野と、「多くの人は目的などなくただ存在しているだけ」と断ずる安田。人間の本質とは何か。人は何のために生きているのか。300文字限定の交換日記による言論バトル。
51通目/安田からの返信
「自分を変えるとは何か」
人は知らず知らずのうちに自己暗示をかけている。その通りだと思います。で、大野さんは「私はできないヤツだ」という自己暗示を「私は何だってできる」という自己暗示に変えようとしている。ポジティブになるのはいいことですし、それを全否定するつもりはありません。ただしポジティブなだけでは足りない。そのポジティブさを何に生かすのか、どう生かすのかが重要なのです。そのためには何が必要か。それこそが己を知るという行為です。私はどういう人間なのか。何に向いているのか。何をやったらより私が生かされるのか。己をいじるのではなく、己を見ているもうひとりの己を成長させていく行為。それが自分を変えるということ。
前回50通目/大野「現実を変えたければ、鏡をいじってもダメ」
自己否定なき自己肯定は、自分から目を背ける行為。まさにその通り。何を隠そう僕の仕事は自分と向き合って頂く事をサポートしているのですから。
まず、可能性の立場に立つ事と自己肯定や自己否定の話はまた別の話。何かになれると信じこむ事とも本当は少し違います。ただあえて露骨に極端にそれに乗っかると、どの道ですよ、安田さんだって僕だって自分に、知らず知らずのうちに意図せず自己暗示をかけている。だからこそ、その暗示された自己を見つめ解放していく必要がある。
現実は己を映す鏡。現実を変えたければ、鏡をいじってもダメ。元の己をいじらないと。自分が源。その事は可能性を意味している。そこに立つことが自己肯定。
ー大野より
前々回49通目/安田「何をもって自己肯定なのか」
本来持っている能力を眠らせたままにしないために。そのためにこそ、自分の役割を見つけるべきだと申し上げているのです。大野さんにとって自己肯定感とは何ですか。合衆国大統領にもなれる、マリリンモンローとも結婚できると信じ込むことでしょうか。自分の可能性を最大化すること。自分自身を肯定すること。それは盲目的に「何でもできる」「何者にでもなれる」と信じ込むことではない、と私は思います。自己肯定と自己否定はコインの表裏です。自己否定なき自己肯定は、自分から目を背ける行為であり、自分自身を騙す行為です。自己否定できる人こそが、本当の意味で自己肯定できる人なのではないでしょうか。
ー安田佳生より
交換日記をする二人
●火曜日
安田佳生(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。
2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。
●金曜日
大野栄一(おおの えいいち)
株式会社一番大切なこと 代表取締役
https://ichibantaisetsunakoto. com
https://www.sugoikaigi.jp/coach/eiichiono/