195通目/安田からの返信 「まったく同じ」
皮肉なことに私の結論もまったく同じです。その人の可能性を広げているように見えて、じつは自分の価値観を押し付けているだけ。努力は必ず報われるとか。限界は自分で決めているだけとか。すべての人には無限の可能性があるとか。その人を励ましているような言葉の前提に、すべてはあなた自身の問題だと突き放している冷たさと、努力次第でどんな壁でも超えられるという驕りを感じます。私はやたらとポジティブな言葉を使う人が苦手なのです。自分が弱いことを認められない。それを正当化するために他人にもポジティブを求めてくる。自分の可能性を信じるのは素晴らしいことです。でもそれを他人に押し付けるのはやめてもらいたい。
前回194通目/大野「誰がその人の可能性を決められるというのか?」
何者にもなれるとは思っていないんです。そして、ポジティブとも素敵ともちっとも思ってない。誰がその人の可能性を決められるというのか?ってことだけなんです。アーサー、あれは極論、僕たち人間が創り出したんです。この社会のシステムの歪みそのもので、僕からするとレイヤーじゃない。つまりレイヤーがあるとすればそれは僕たちが創り出している。例えば、無理しなくていいよ、とか、頑張りすぎたらダメだよ、とか、真面目もほどほどにね、とか、良い人を演じなくていいんだよ、とか。一見するとその人を楽にするようなそれらの言葉の前提には、人間の可能性ならあなたより分かっているという驕りのような冷たさを僕は感じてしまうんです。
ー大野より
前々回193通目/安田「結論は見えてきました」
すみません。ジョーカー観てないです。でも結論は何となく見えてきました。やはり私たちは根本的な考え方がズレているようです。もちろんズレていても問題はないし、ズレているからこそ、この対談を始めたわけですけど。ズレの根本は「ポジティブな生き方」「素敵な生き方」というキーワードにあるのではないでしょうか。大野さんは努力次第で人は何者にもなれると考えている。その方がポジティブだし素敵な人生だと思っている。私はなるべきものを大きく外れたものに人はなれないと考えている。その方がポジティブだし素敵な人生だと思っている。どちらも求めているものはポジティブで素敵な人生。だけどその定義が違う。ただそれだけ。
ー安田佳生より
交換日記をする二人
安田佳生(やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。 2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。
●金曜日
大野栄一(おおの えいいち) 株式会社一番大切なこと 代表取締役 https://ichibantaisetsunakoto. com https://www.sugoikaigi.jp/coach/eiichiono/