赤い出口、青い出口 第5回「ネーミングの大切さを考える」

このコンテンツについて
自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

第5回 ネーミングの大切さを考える

私は「出口にこだわるマーケター」と、自分でタイトルをつけています。
正直言うと、マーケターと名乗りたかっただけなのです。
マーケターが醸し出す雰囲気は、新しく、先進的なイメージ、頭も良さそうで、仕事も早く、成果が出るのも早い、お客様も意欲的な方が多くなりそうな気がしていました。
マーケッターではなく、マーケター。良い響きです。

一方で「出口にこだわる」の部分は、このコラムを始めるということがきっかけで、自分の得意な仕事を表しています。

【出口は5年後】

私の仕事はオーナー経営者に対しての、新規事業開拓・プロジェクト請負・アドバイス業務を行っています。ほぼインターネットを使っての提案です。

新しいことに対して興味は強いのですが、お客様と向き合って対策を考えると、すぐに成果が出ることよりも、5年くらいで事業の柱になるような施策を提案しがちです。
結果として自分の得意なことは、「お客様の5年後の未来にコミットする。」ということなのかなと思っています。
そういうこともあって、長くお客様とお付き合いができ、様々なことに首を突っ込んでいくので、いつのまにかオーナー経営者の何でも屋さんになっています。

このコラムの「出口」という言葉の意味は、私が書いている以上、だいたい5年後を想定しながら書くことになりそうです。
(意識はしていませんが、おそらくそうでしょう。)
ただ、ずっと5年後なので、出口は移動し続けることになります。

【マーケターという仕事】

皆さんはマーケターのことを、どのように考えていらっしゃるのでしょうか?
ネットでの販促やtwitter運用、ホームページの制作、この類を提案し実行していくディレクターのことをマーケターというのかな。そのアクセス解析やフロー作成で販売戦略をマネジメントする人のことをマーケターというのかな。
一般的なマーケターの印象は、売上を上げるために、あらゆる施策をうつ司令塔のようなものでしょうか。
これは私が考える「狭義のマーケター」。

私は、マーケティングというものは会社全体の意思や行動を表すものだと考えています。
商品企画からフロント営業、社内システム、組織、経営者も含めて、その会社の商品やサービスを通して、お客様に影響を与えていくものだと考えています。
ですから、マーケターは会社とそのお客様を繋ぐ、コミュニケーターのようなものでしょうか。
これが私の考える「広義のマーケター」

私が理想とする「広義のマーケター」という職業は部署を超えて、上司・部下を超えて、その先のお客様まで、考えに考えて一緒に行動できなければいけないと思っています。
もちろん「狭義のマーケター」を含むので、しっかり実績を残していくのが仕事です。


【ネーミングに寄り添うという出口】

そんなことを毎日考えているので、商品コンセプト・ネーミングはとても大事です。
私が思う「広義のマーケター」という職業にとって、ネーミングは最上級のエッセンスだと考えています。
目的をぶらさず、日々施策をうっていかなければならないので。

会社のメッセージから、商品、開発ヒストリー、会社の組織、販売方法まで商品コンセプト・ネーミングでカバーすると、お客様・従業員・経営陣が共通の意志を持つことに繋がります。そうすることで5年後に事業の柱となる成果が出ると考えています。
ネーミングに寄り添うことで、力強い成果が出てくると思っているのです。
これが「広義のマーケター」の「青い出口」です。

一方、ネットの特性である、拡散の効果を狙った、販促方法、宣伝方法にこだわってしまうことは、事業の柱となるどころかお客様に飽きられて、商品の寿命が5年持たないかもしれません。
これは「狭義のマーケター」が陥りやすい「赤い出口」だと考えます。

【新しいタイトルを考える】

以上のことを踏まえると、私のタイトルである「出口にこだわるマーケター」はちょっとものたりません。私が提供するサービスのコンセプトがひとことでは、うまく伝わりませんから。ネーミングとしてイマイチです。

現在マーケターが持つ「スマート・スピード・成果」のイメージがあるので、その努力をし続ける意思の表れとして、私のタイトルにマーケターは使っていきたい。
そうなると、出口を明確にしたほうが、お客さんにサービスも伝わると考えました。

「5年後に成果をもたらす、マーケター」

これじゃ、売れない。
私自身、5年後に成果が出そうです。

 


- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、
営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。
独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。

情報流通量の多少が、価値の大きさを決める時代となり、
「出口」の情報流通量を増やすことに重点を置いています。
これが「出口にこだわる」マーケティングの基となっています。

また、「出口にこだわる」実証として、
モロッコから美容オイルを商品化し、販売しています。
<https://aniajapan.com/>

商品の「出口」で情報が増えれば、ファンが増える。
「出口」に注力することで、新規マーケットの創造に力を発揮します。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

感想・著者への質問はこちらから