赤い出口、青い出口 第30回「変わりゆく重要な仕事」

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

第30回 変わりゆく重要な仕事

【人が集まるところに職業が】

Youtuberと呼ばれる職業が、憧れの職業となって数年経ちました。
2年ほど前、私の息子が卒園式で「将来はユーチューバーになりたい」
と言ったときは、親御さんの間で乾いた笑いに包まれました。

しかし、時が経ち、Youtuberの担う役割は、
少しづつ世間の承認を得てきたのではないかと思います。

この変化を見ていると、
スポーツ選手やプロゲーマー、ゲーム実況者、インフルエンサーなどは、
人が集まるところに生まれる新しい職業として、
形を変えながら、憧れの対象になるのではないかなと感じます。
私たちの時代の、歌手やアイドルと同じように。

【多すぎる情報の中で】

ネットの発達、スマホの浸透によって、
インターネット経由の購入は、一般化されました。
小さなものは、ネットで決済。
最近は生鮮食品もネットスーパーを利用しています。
大きいものはネットで情報収集をして、お店で確認・購入。

企業側はお客様の購入ルートの変化で、
ネット経由での販売に力を入れています。
住宅や車などの値が張るものに関しても、
事前の詳細情報をネットに掲載しないと、売れません。

そうすると、猫も杓子もネットネットで、
情報だけがあふれる世の中になります。

【ネットはおすすめ天国】

ネットを開くと、ユーチューバーであろうと
ブロガーであろうと、アフィリエイターであろうと、
様々な商品をおすすめしてくる人に出会います。

ネットのシステムもいろいろオススメしてくれます。
過去の閲覧履歴や志向をもとに、これ欲しいでしょうと。
なんで自分が欲しいものを知ってるんだ!
と最初は不思議でしたが、もう驚きません。

昔はGoogle検索で商品を探しました。
最近は買いたい商品に詳しい
インフルエンサーを探すようになりました。

もう私たちは商品を比較購入するのに、疲れちゃったんです。
インフルエンサーが一生懸命おすすめするもので、
充分満足するのです。

【インフルエンサーの役割】

私は中小企業向けにマーケティングや
システムの設計をしているのですが、
インフルエンサーは遊んでいるように見えて(失礼)、
重要な役割をもっているとわかります。
インフルエンサーは、”おすすめされたいお客様”を
たくさん持っているのです。

データを見ても、インターネット経由での販売については、
インフルエンサーのおすすめにお金を払ったほうが、
営業パーソンの教育や組織化に力を入れるより、
コストも掛からず、たくさん売れることがわかります。
もちろんBtoBの取引であろうが、関係ありません。

【社員による小さなインフルエンサー】

今のインフルエンサーは、フリーランスが個人でやっていたり、
企業の社長や、広報や宣伝の部署が担っています。
これからは、
インフルエンサーほどの莫大な影響力はなくとも、
営業や一般の社員がそれぞれに、
小さなインフルエンサーとして
機能してもらうというのはいかがでしょうか。

広告や宣伝にお金を払って、販促をしていく。
営業パーソンのマネジメントを強化していく。
そうやって販売を強化してきた会社にとってみれば、
小さなインフルエンサーを無数につくることによって、
”オススメされたいお客様”を持つのは、
資金を投入する目的は同じで、販路の拡大にも繋がります。

「社員をインフルエンサーにするプロジェクト」
「インフルエンサー手当支給」など、
広告戦略や宣伝の方法を社内レクチャーすることが、
売上を上げる手法になる日が、すぐそこまで来ています。


- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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