人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第100回 幸せになるための「欲のデザイン」

以前メルマガに、「自分の欲をどうデザインするかが大事な時代になる」と書かれていましたが、まさにその通りだなと。

そうなんです。だからまず、自分に欲があることをしっかり認める。「私はもう達観してます」みたいなフリをする必要はないわけです。むしろ本当に欲求がなくなってしまったら、どんどん老け込んでいって、生きる気力だってなくなっちゃいますよ。

ええ。ただそこで大事なのが、その欲が「自分のためだけ」で完結していないかということで。自分の欲を満たしながらも社会にポジティブな影響を与えられるように設計していくと、いろいろうまく進むようになるよ、と。

もちろんです。これ、最初に発想の転換をするのがすごく大事で、「誰かのため」「社会のため」というと「自分の欲は後回しにする」みたいに思われがちですが、それだって突き詰めれば「我欲(がよく)」なんですよ。

ははぁ、なるほど。結局はすべて「自分のため」ということなんですね。例えばマザー・テレサが貧しい人々のために人生を捧げたのも、それは彼女がそうしたいからやっただけなのだと。…とはいえ、やっぱりいきなり「誰かのため」「社会のため」に頑張るって難しくないですか?

仰るとおりで、なので、すべては自分の欲なんだと認めたうえで、だんだんレイヤーを上げていくイメージですよね。「自分のため」「家族のため」だった欲を、やがて「人類のため」「世の中のため」へと広げていく。

仰るとおりです。自分の欲に無理にフタをする必要なんてなくて、むしろ「その欲を自分以外の誰かにも役立てることはできないかな」という視点を持つ。例えば「会社を大きくしたい」という欲があったとして、それを自分完結にするんじゃなく、社員や取引先の目線でも考えてみる。自分、社員、取引先に共通するハッピーを見つけていく。

ええ。かといって別に「自分は偽善的だ」なんて卑下する必要はない。いいホテルに泊まる、美味しいご飯を食べる、そういう欲が満たされてきたら、次は自分の手の届く範囲の人たちに、もっとポジティブな影響を与えたいと感じるようになる。それだけの話なんです。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















