人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第104回 「自分らしく」は過去、「自分ならでは」が未来を創る

そうですね。ここ数年、「自分らしく生きよう」という言葉がよく使われますが、私は「自分らしさ」というのは、過去の自分に拠っているものだと感じているんです。過去の実績や経験、キャラクターの延長線上にあるものですね。

それに対して、「自分ならでは」は過去に積み重ねたものをベースにはしつつも、未来志向なんです。まだやったことがないことも含めて、自分にしかできないアウトプットを作っていく。「らしさ」は守ること、「ならでは」は作ること、というイメージです。

メルマガにも書いてありましたね。個性を誇張するのが「らしさ」だとしたら、本質を掘り下げることで未来を作っていくのが「ならでは」だと。

ええ。過去の肩書きにしがみつくのは、まさに「らしさ」の罠ですよね。「元部長」という「らしさ」を守ろうとすると、未来へ進めなくなってしまう。今まで築いてきたスキルや持っているものを全部手放したとしても、自分の中に残るものがその人の本質ですから。

確かに。でも世の中は「過去」に興味を持つ人が多いですよね。「東大卒」とか「ノーベル賞受賞」とか。私の場合も、会社がなくなって15年も経つのにいまだに「元ワイキューブの安田さんですよね」「あの本を読みました」と言われることが多くて。

相手は褒め言葉のつもりなんでしょうけどね。「昔すごかったことは知っていますよ」という気遣いもあるでしょうし。でも本質を掘り下げ続けている人にとっては、過去の栄光を褒められることは特に嬉しいことでもないんですよね。

そうなんですよ。圧倒的に「今の自分に興味を持ってくれる人」のほうが嬉しい。だからこそ、「らしさ」と「ならでは」を分ける考え方がすごくしっくりくるんです。肩書きは過去のものですが、これから何をしようとしているかはまだ肩書きになっていない。

そうですね。第三者から見ると、新しい挑戦は「安田さんらしくない」と映るかもしれません。でもそれは過去を見ているからであって、安田さんは過去をベースにしつつ「安田佳生ならでは」の新しいものを作り上げている最中なんですよね。

世間一般的に進化しているのかはわかりませんけれど(笑)、自分の中では進化していると思っているんです。その一つの基準に「自分のことが好きか」がある気がしていて、今の自分が一番好きだと胸を張って言えますからね。

同感です。死ぬときには、一番自分のことが好きな状態で死にたいものですよね。年を取るごとに、自分についての理解がアップデートされていく。今の自分を一番よく知っているからこそ、どうすれば自分が喜ぶか、どうすれば人の役に立てるかもわかってくる。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















