第114回 お金儲けという「リアル人生ゲーム」の楽しみ方

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第114回 お金儲けという「リアル人生ゲーム」の楽しみ方

安田

お金儲けって本来すごく楽しいことだと思うんです。でも多くの人にとって「お金を稼ぐより使う方が楽しくて、生活のために仕方なく稼いでいる」という構図になりがちですよね。


藤原

確かに、そういう感覚で働いている人は多いでしょうね。

安田

ええ。でもこれって一種の「リアル人生ゲーム」みたいなものじゃないですか。誰かの役に立ったらその対価としてお金がもらえる。満足感もあるし、それによって欲しい物が買えたりもするわけですから。


藤原

仰るとおりです。自分のやったことが他者の喜びになり、それが明確な数字や報酬として返ってくる。こんなに面白くてやりがいのあるゲームは他にないと思うんですが、なかなかその感覚が浸透しないのがもどかしいですね。

安田

私、奥さんにはお金を残そうと思っているんですが、子どもに対してはそうは思わないんです。なぜかというと、せっかくの「自分でお金を稼ぐ」という人生最大の楽しみを奪ってはいけないという思いからで。


藤原

ははぁ、なるほど。安田さんご自身が、自分でお金を稼ぐプロセスで楽しい思いをされてきたからこそ、お子さんにもその醍醐味を味わってほしいと。

安田

そうなんです。でも世間を見渡すと「お金稼ぎは本当にしんどい」「生活のために仕方なくやっている」という人が圧倒的多数じゃないですか。なぜこんなにも楽しいゲームが、心底しんどくて辛いものになってしまっているのかなと。


藤原

私自身にとってもそれが一番ホットなテーマでもあるんですが、「労働と美の一致」が分断されてしまったことが大きいんじゃないかと。労働が単なる苦役になり、お金と交換に命令を実行するだけの作業になってしまっているんです。

安田

うんうん。とにかく会社に行って、好き嫌いに関係なく言われたことだけをやる。主体性が奪われて単なる作業になってしまっていることが、仕事をつまらなくしている大きな要因のような気がします。


藤原

そうですね。あとは短期的な「損得」の視点だけで生きているというのも、仕事を辛くしている理由の一つかもしれません。自分の行動に対するリターンを、すごく短いスパンで見てしまっている人が多い。

安田

ああ、確かに。会社員であれば一番長くて1ヶ月スパンですよね。1ヶ月後に給料日が来て、早かったら日払いでその日のうちにキャッシュが入ってくる。その短いサイクルの中でしか損得を測れなくなっていると。


藤原

そう思います。例えば「今日8時間働いたんだから、このくらいもらわなきゃ損だ」というように、自分の投じた時間に対する対価を短期で回収しようとする。だからこそ、仕事がただの「しんどい時間とお金の交換」という感覚になってしまうんだと思います。

安田

なるほどなぁ。時間給の考え方に縛られているわけですね。自分が提供した価値や、相手がどれだけ喜んでくれたかではなく、「何時間拘束されたか」にフォーカスしてしまうと。


藤原

ええ。さらに言えば、例えば10の給料をもらっていて自分は10の仕事をしているとします。でも同じ給料なのに8しか仕事をしていない同僚を見たら、「あいつはずるい、自分は損をしている」と思ってしまう人が大半だと思うんです。

安田

確かに確かに。多くの人が不満に感じるポイントですよね。「なんで自分はこんなに頑張っているのに、給料は同じなんだ」と。そうやって周りと比較して、いかに自分が損をしないかという思考に陥ってしまう。


藤原

ええ。一方で同じ10の給料でも、自ら進んで12の仕事をすることだってできる。どうせ同じ時間を使うなら、楽をするより必死に頑張って12の仕事をした方が成長できるじゃないですか。でもなかなかそうは思えない。

安田

成長すれば、お金を稼ぐ能力や人としての魅力が確実に上がっていきますから。5倍も10倍もの会社へのリターンを与えるような人材になる努力をした方が、結果的に得なんですけどね。


藤原

そうなんです。でもそこまで長期的な視点で見られない人が多いから、「頑張るだけ損だ」「仕事はしんどい」みたいなことになってしまうのかなと。

安田

そうですね。あとは「主体的かどうか」もありますよね。長時間働いてスキルアップするのは、あくまで主体的に考えて働いている人だけだと思うんです。

藤原

ああ、それは間違いないですね。言われたことをとにかく作業として実行するだけだと、いくら時間が長くても疲れるだけで、別にスキルアップはしませんから。主体性が伴って初めて、その労働が自分の血肉になっていく。

安田

そうそう。自分で考えながら、「どうやったらよりよい仕事になるのか」「どうすれば相手がもっと喜んでくれるか」と工夫しているからこそ、スキルアップできる。

藤原

そうなんですよね。だから「1日8時間」という枠組みの中で、どれだけ自分の労力やパワーを注いでいくのかという視点を持つことが、仕事を面白くする秘訣だと思います。

安田

同感です。「すぐにお金にならないことをやるのは損だ」とか「言われていないことまで自分で考えてやるのは損だ」という発想になってしまっているから、仕事が苦役になるんでしょうね。

藤原

すぐにお金になるかならないかわからない、むしろならないような工夫や挑戦のほうが仕事を楽しくするし、長期的に見れば自分の収入を劇的に増やしたりもするんですけどね。

安田

そうそう。経営者さんの中でも「FIRE」を目指して、若くして引退したがる人がけっこういるじゃないですか。経営者だからといって主体的に楽しく働いていたわけじゃなく、やっぱり仕事がしんどかったんだろうなと思うんです。

藤原

確かに。単に雇われの身だから仕事が辛いというわけではなく、働くことに関する根本的な価値観がズレているのかもしれませんね。

安田

そう考えると、藤原さんがいつも仰るように「美意識」を持って仕事に向き合うことが大事なんでしょうね。

藤原

そう思います。自分の仕事が人生にとってどんな意味を持っているのか、そういう意識を持てるかどうかで仕事の捉え方が全く変わってくる。実際、プライベートよりも仕事を通じてお客様や取引先からいただける感謝の方が、質も量も大きく上回る気がします。

安田

仕事という共通の目的を通じて掛け算になることで、全くの知り合いじゃない人や直接関係のない人たちとも深い関係性が構築できて、お互いに役立つことができる。それがビジネスの醍醐味ですよね。

藤原

本当にそうですね。なんとかこの仕事の楽しさや面白さを広めていけるようになりたいですね。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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