第21回 国民が自由に国を選ぶ時代

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第21回 国民が自由に国を選ぶ時代

安田

今回は、先日私がXでポストして藤原さんからもご賛同いただいた「国のあり方」についてお話ししたくて。というのも、国家の役割が昔と変わってきているような気がするんです。


藤原

そうですね。私もそう思います。

安田

例えばこの対談では「外的報酬と内的報酬」の話をよくしますが、どちらを重視するかも文化や民族性によって異なるんじゃないのかなと。


藤原

そうですよね。同じ日本人でも考え方は同じじゃないわけで、国が違ったらなおさら大きく変わるでしょうね。

安田

例えば、日本ではまだ転職しない人の方が多い。転職すれば給与が上がるとわかっていても、なかなか腰が重いわけです。でも中国の方からすると、「なぜ日本人は転職すれば給料が上がるのに転職しないんだ?」と不思議に思うらしいですね。


藤原

なるほど。中国はどちらかというと、外的報酬を重視する方が多そうですもんね。

安田

ええ。つまり国ごとに「基本的な考え方」というのがある。一方で、日本人の中にも中国人に近い感覚の人もいるだろうし、日本人っぽい感覚の中国人もいるはずです。だから私は考えたんですよ。「どの国の国民になるかを自分で自由に選べる」ようになれば、みんなハッピーになるんじゃないかって。


藤原

ははぁ、なるほど。おもしろい発想ですね。言葉の壁とかいろいろ越えなければいけないものはあるでしょうけど、それさえクリアできるならすごくいいプランな気がします。

安田

そうでしょう? 自分の考えにマッチしない国で無理に生きるより、マッチした国の国民になっちゃえばいいんですよ。


藤原

確かに。政治にしても、「全部決めてもらった方が楽でいい」という人もいれば、「面倒だけど選挙で決めたい」という人もいるでしょうしね。

安田

そうそう。そういうことも含めてベストな国を自分で選べるようにしたら、全部解決するような気がして。


藤原

なるほどなぁ。ただ現実的には、「ウチはこういう国ですよ」という主張を信じて国民になったのに、いざ入国してみたら全然違っていた、みたいな問題が起きそうです。…まぁ、会社や結婚でもよく聞く話ですけど(笑)。

安田

笑。でも実際、そういう可能性はありますね。それなら「何度でも国を変えられる」ということにすればいい。そうすれば結局は信頼できる国に人が集まるようになると思うんです。


藤原

うーん、そうは言っても、一度入ったらもう出られないようにされちゃう危険性もありませんか。

安田

まぁ、そういう国、実際にあるわけですもんね。ただ、「他の国と自由に行き来させない国」というのはすぐに知れ渡るわけで、それこそが悪の証明になるというか。


藤原

なるほど。いやぁ、それにしても面白い考え方ですね。人々が所属する国を自分で選ぶようになったとすると、「愛国心」という感覚も変わっていくんでしょうか。個人的には愛国心って、「家族を愛する気持ち」と同じようなものだと思っているんですが。

安田

同感です。家族に対して抱くのと同様に、自分の住んでいる地域にも同じように愛着は芽生えると思います。ただ、昔から不思議に思っているんですが、愛国心を理由に国同士で戦争したりしますけど、新宿区と板橋区の間では戦争は起こりませんよね。


藤原

確かに。区が違っても、国は同じですもんね。同じ国に所属する仲間同士なわけで。

安田

そうなんですよ。だったらむしろ、「愛国心」をもっと広げて「愛地球心」を持ってしまえばいい。全人類が「愛地球心」を持てたら、国の違いも区の違い程度の差しかなくなって、戦争は起こらないんじゃないかなぁ。


藤原

ああ、確かに! 国境を区境に変えちゃうわけですね。いやおもしろい。

安田

そうそう。その上で「税金を払って快適な生活をする」とか「税金は0円だけど代わりに義務がある」とかを、国ごとに打ち出していけばいいと思うんですよ。


藤原

ふーむ、おもしろい。そんな社会が生きてるうちに来てほしいですね。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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