第27回 正解がない時代の「正解の作り方」

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第27回 正解がない時代の「正解の作り方」

安田

今回も藤原さんのメルマガから聞いてみたいんですけど、「“正解がない時代”なんだから、何が正しいかなんて考えずにとりあえずガンガンやればいいじゃん」と書かれてましたよね。


藤原

そうですね。ちょっと無責任に聞こえるかもしれませんが(笑)。

安田

いやいや、私も全く同感でして(笑)。数十万とか100万200万くらいの投資なら、もう捨てるつもりで挑戦していくべきだと思うんです。それがうまくいけば大きな事業になっていくかもしれないわけで。


藤原

そうそう。皆それくらいの感覚でやればいいのにとは思いますね。

安田

でもそういう経営者って少ないですよね。なんでやらないんでしょう?


藤原

「不正解」を潜在的に恐れているのかもしれませんね。何かやらかしたら認められなくなるんじゃないかと。

安田

確かに、経営者に限らず最近の人は、目立った失敗を極度に嫌がりますよね。あとは「無駄なこと」「すぐに成果が出ないこと」も嫌いです。その割に、使えない社員を黙って抱え続けている会社の多いこと多いこと。


藤原

確かにそういう意味では矛盾してますよね。まぁ日本は解雇規制がありますから、簡単に放り出すことはできないわけですけど。

安田

まぁそうなんですけど、社員の雇用でマイナスを積み重ねるくらいなら、思い切って外注した方がいいと思うんです。新たに「不正解」になるかもしれないものには非常に敏感な割に、既に抱えている「不正解」に対しては無頓着なんですよ。


藤原

そうかもしれませんね。というか、日本の企業ってそもそも仕事の任せ方がおかしいんです。できる社員に「確実に成果が出る仕事」をさせて、できない社員に「成果が出るかわからない仕事」を任せる。これ、逆ですよね?

安田

ええ、まさにそう思います。絶対逆ですよ。誰がやっても黒字になる仕事は言ったことだけやる社員に任せた方がいい。人によって成果が出るかどうかわからない仕事こそ、一部の優秀な人に任せるべきで。


藤原

そうですよね。優秀な人には「正解のない仕事」にこそ向き合ってもらった方がいいと思うんです。正解がないからこそ自由に考えることになって、結果その人の実力も発揮しやすくなるというか。

安田

そうそう。そうやって優秀な人に自由な発想で力を発揮してもらわないと。今は昨日までの常識や正解が何の意味もなくなるような時代ですから、尚更です。それなのに昨日と同じことをやっている経営者が大半なんですよね。


藤原

経営者といっても幅広いですからね。たとえばコンビニのFC加盟店でも、その代表が経営者であることに違いはない。でも実際には、「クリエイティブなことを一切しちゃいけない」という制限があるわけで。

安田

確かに。余計なことをしてはいけない業態ですもんね。


藤原

ええ。「おいしい手作りのケーキ」を作って販売したら、仮にバカ売れしようが「勝手なことをするな」と本部に怒られるわけですよ。もっとも、そういう環境下でこそ力を発揮できる経営者もいらっしゃいますから。

安田

「クリエイティブ型の経営者」と「管理型の経営者」がいますからね。ただね、今までは既にあるマーケットで利益を出すのが王道でしたけど、その常識すら変わりつつあるじゃないですか。


藤原

わかります。少し前までは当然の「正解」だったものが、いつの間にか「不正解」になってしまう時代です。そんな時代に、昨日と同じことをやり続けているとしたら危機感が足りないと言われても仕方がないと思います。

安田

それでいうと、どんな経営者でもそれなりの危機感は持っていると思いますよ。先細りの先が、既に見えないくらい細くなっているわけなので。ただ「そのわりには悠長だな〜」と感じることが多いというか。


藤原

なるほど。危機感を持ちながらも、「昨日と同じことをやらないとお客さんに怒られる」とか、そういうことが優先されているのかもしれませんね。

安田

藤原さんがよく仰るように、「緊急かつ重要なこと」に時間を取られすぎているんでしょうね。それで手一杯になってしまっている。


藤原

ああ、まさにそうですね。その結果、「緊急じゃないけど重要なこと」つまり第二領域に対する時間配分が少なくなっているのかもしれません。

安田

でも「緊急じゃないけど重要なこと」をやらないから、「緊急かつ重要なこと」が増えていくわけですよね。人不足になるとか国力が落ちて円安になるとかは、何十年も前からわかっていたわけで。本来であればもっと前に何かしら手を打たなければいけなかった。


藤原

それはそうですね。気づいたら10年経っていたという感じかもしれませんね。良くも悪くも、目の前の仕事をやっていれば今月来月の利益は出るわけで、本人たちからすると「逃げていた」わけでも、まして「悪気があった」わけでもないんでしょうね。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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