人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第76回 形骸化しないクレドの作り方

少し前に「クレド」って流行ったじゃないですか。あれってどういう経緯だったんですかね。

ああ、流行りましたね。リッツ・カールトンとかジョンソン&ジョンソンがクレドを使ってると知って、それを真似した会社が一時期すごく増えたと記憶しています。

ええ。「経営理念」はトップダウンでいいと思うんです。つまり、オーナーや経営者が考えて外に示すもの。でも「クレド」はボトムアップで作って、現場の人たちが「自分たちのもの」として腹落ちする形にしないと意味がないと思っていて。

というよりは、自社がどうあるべきか、その判断軸を言語化したものだと思います。そのためには当然ステークホルダーの存在を意識する必要があって。「従業員」「顧客」「取引先」「家族・地域社会」「株主」の5つがそれにあたります。

うーん。パッと見分けるのは難しいかもしれません。というのも、内容が20個あったらダメ、3つならいい、とかではないので。それより大事なのはトップダウンで作ったのか、ボトムアップで作ったのかですね。

なるほどなぁ。でも、現実的にはなかなかまとめるのが大変そうですね。従業員の給料を上げたら、短期的に見たら株主の利益は減る。だからこそ長期的なビジョンをしっかり描いて、株主を説得する必要があるわけじゃないですか。

おもしろいですね(笑)。どう考えても非合理には見えるけど、それをしたことで後から100万円の利益になるなら得ですもんね。…でも上場企業のように3ヶ月ごとに黒字を求められる会社だと難しいだろうな。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。