当方雇われの身にて
現実にはちょっとむずかしいのですが、
すっかり頭部の何割かを占めるに至った白髪の色を変えるなら
何色がいいのだろう、と思いたちました。
細くなった髪をまぎらわせられる、
正体不明の見た目になるといったメリットがあるため、
個人的には芸能人よろしく金髪がいいのですが、
ネットに聞いてみたところ、
「金髪も茶髪も、そのあたりは全部アウト」なのだそうです。
正解はというと、「灰色」でした。
根拠としては、茶色をはじめとした有彩色は
中高年の男性が使用すると他人様にはチャラく映るため、NGで、
むしろ自然の白髪がなりがちである黄ばみを打ち消すことが
その年代でもっとも重要な要素、「清潔感」を向上させる唯一の方法であり、
カラーリングをするならば灰色など無彩色になるようにしなさい、
だそうです。
そこで気づいたのですが、
外見については「清潔感」がいちばん大事だと、いつでも誰にでもいわれています。
中高年どころか中高生くらいの年齢から
不潔だと異性にモテない!みたいなことはいわれるわけですし、
社交の場、ビジネスの場、あらゆる人間とのかかわりの中で
ひとつおぼえのように「清潔感」が唱えつづけられています。
そして、これだけ強調される清潔感が人の体のなにを指しているかといえば、
「きたならしく見えないこと」、すなわち上記の例でいえば
白髪が悪目立ちしないことであり、
あるいは、肌の色やキメが荒れていないことだったり、
歯がボロボロだったり欠落していないことだったり
体から変な臭いがしなかったりすることです。
いいかえれば
白髪はなければ済むことで、
肌がきれいで、歯がそろっていて、悪臭の原因がなければいいわけですが、
はっきりいいますと、
これらはすべて、若い人の特徴なのでございます。
「若作り」というとネガティブな意味で、
若作りしている中高年は世間では軽蔑と嘲笑の対象でしかありませんが、
「中年以降も人間には清潔感が必要という価値観」とはすなわち、
「いつまでも若作りに参加しよう」
と呼びかけているようなものではないでしょうか。
中高年が清潔感至上主義を真に受けると、若作りになってしまう……
一体どうすればいいのでしょうねえ。