その195 アットホームな職場です

就職や転職をしようとしている方がもっとも気にしていることといえば、給与もさることながら、ほとんどの場合はキャリアアップできるかであったり、ライフスタイルに合致しているかであったりで、ひとことでいえば
「自分にとって都合がいいところであるか」
といったことになるかと思います。

一方、求人側がアピールとして「アットホームな職場です」ということは、今日びは「ブラックだと自分でバラしているようなもの」とすらいわれます。
アットホームという名のもとに、過度な干渉、押し付け、搾取されることを、働く側はこの上なく恐れているのです。

この、多くの労働者諸氏が警戒している「アットホーム=厳しい環境かもしれない」という図式ですが、端的にいって認識が間違っているといわざるを得ないでしょう。

アットホームな職場とは、厳しいことが正しいからです。

個人によって向き不向き、上手い下手が明確にあるにもかかわらず、わたくしたちが必死に世間で愛想を振るのはなぜでしょう。
それは、世間というものが自分にとって得体の知れない、希薄なつながりしか持たないものであり、それでいて世間に背を向けられたら生活が立ち行かなくなるからです。

関わっても悪いようにはしませんよ、お役に立ちますよと言外に主張する一環として、人はその人なりの愛想をまくのです。

競合、儲からない客、邪魔な部外者、それらに対してわれわれは決して最初から噛みつくようなことはしません。敵対的な存在であるほど気をつけて取り扱うべき対象であり、まずは礼を尽くして接するほかありません。

一方、同じチームとなると話が違います。

世間を渡っていくために進むベクトルを合わせている目的は、営利のため、パフォーマンスを出すためです。

原則的に、同期などの並列関係はライバルとなり、上下関係があれば、上の者は下の者から最大化した成果を吸いあげなければなりません。
魚を獲らなくてもいいよとか、獲った魚を食べていいよという鵜飼いはいないのです。

それでありながら、グループや組織は一体化してることが望ましいのですから、会社はアットホームな方がいいに決まっていて、かつ
「アットホームであるほど、中での当たりはキツい」
のは、当たり前の帰結なのです。
 

 

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著者自己紹介

「ぐぐっても名前が出てこない人」、略してGGです。フツーのサラリーマン。キャリアもフツー。

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