SNSで流れている短い動画などながめていますと、
海外の若者という人種が
スケボーだとかパルクールだとかで
むやみやたらに高いところから体を放り出して、
着地を決めたら仲間とヒャッハーと喜んでいるのを見かけます。
あるいは
そこで足が滑ったら長時間の自由落下が避けられない、
高所恐怖症のわたくしからすれば
いろんな箇所が縮みあがってしまう危険な高所で
ニコニコと自撮りを敢行しています。
まあ、すごいにはすごいですけど、
失敗したらどうなるとか、まったく思わないんでしょうか。
聞きかじった話ですが、
ある種の寄生虫はネコ科の動物の体内でしか繁殖できないそうです。
そこで、それ以外の動物(ネズミなど)に入ってしまった場合、
なんと宿主の行動が大胆になるよう操作して、
ネコなどに捕食されやすいよう誘導するのだそうです。
その傾向は首尾よく宿主をチェンジしても続き、
結果、
あるオオカミの場合では
その寄生虫を持って大胆になったある個体はほかの個体の数十倍、
群れのリーダーになる確率が高いのだそうです。
単に寄生虫すげえ、
ということもありますが、
それ以外も興味深い話です。
寄生虫を宿したオオカミは
リスクある行動へのハードルを下げて得たリターンとして
群れのリーダーになったかもしれませんが、
その陰で
リーダーになりそこなって寿命を縮めたやつがいることは
想像に難くありません。
むしろ確率的にはそちらが多いのかもしれません。
超一般論として、
われわれ日本人は若者であっても
失敗すればかなりの確率で骨折すると思ったら
むだに高いところから飛び降りたりしないわけで、
逆にいえば
慎重だからこそ
無自覚であるがゆえのリスクテイクがむずかしいということであります。
これは、なにかの生産や成果を争う場において、
現実的な判断で手堅く行なうことが往々にして
単純でストレートな行動に遅れをとることがありうることの
裏返しでもありましょう。
実際、人間であれば
リーダーになれなかった側、失敗する側の可能性を気にせざるをえないものでしょうが、
それでも考えるだけ考えた末に
目に見える、形のある行動のみが必要なときには
自分のなかでなにかが
ぷちっ
と切れたような無神経さを会得するしかないのではないでしょうか。