GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜 著者:小出 紘道
引き続き、Lighthouseという欧米のホテルマネジメントサービスが「ホテル&ホスピタリティ業界の動向」をまとめている記事がビジネス的に参考になりそうなので、読んでみたいと思います。
今週の記事はこれ。
The top 10 travel and hospitality trends that will shape 2025
(2025年に表出するホスピタリティのトレンドトップ10)
https://www.mylighthouse.com/resources/blog/top-10-travel-and-hospitality-trends-2025
トップ10のトレンドは下記の通りです。
1.Consumer caution continues into 2025, but the desire to travel remains
2.Optimism grows for Asia-Pacific hoteliers amid rising travel demand
3.India’s luxury hotel sector: A star on the rise
4.The steady advance of short-term rental growth
5.The evolution of event-driven travel: New patterns emerge
6.The rise of authentic travel beyond tourist hotspots
7.AI adoption will transform Revenue Management
8.The rise of Total Revenue Management and the search for ancillary revenue
9.Personalization will be the new standard in 2025
10.The distribution landscape in 2025, one of evolving challenges
引き続き「7.AI adoption will transform Revenue Management」を見ていきたいと思います。
7.AI adoption will transform Revenue Management
AI導入が収益管理を変革する
Our latest research reveals that 63% of hoteliers are already leveraging AI across their operations, from pricing decisions to market analysis. And the industry verdict is just as compelling:
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最新の調査によると、ホテル経営者の63%が既に価格決定から市場分析まで、業務全般でAIを活用している。業界の見解も同様に説得力がある
ホテル業界は(業界外の私からみても)AIの活用によって収益力が上がりそうな感じしますね。
もう少し具体的なアンケート結果が下記です。
75% of respondents expect AI to help them improve their revenue management decisions in the next 5 years
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回答者の75%が、今後5年間でAIが収益管理の意思決定の改善に寄与すると期待
83% of respondents anticipate that AI will help them save time and increase productivity in the next 5 years
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回答者の83%が、今後5年間でAIが時間節約と生産性向上に寄与すると予測
75% of respondents rated AI’s future impact as either a 4 or 5 on a 5-point scale
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回答者の75%が、5段階評価でAIの将来的な影響を「4」または「5」と評価
特に「スタッフや経営陣の時間節約と生産性向上」の観点が、実際の業界内の人から見たメリットサイドのようです。
一方で、下記のように、全てのホテルでAI活用が進んでいるわけではないようです。
Yet adoption isn’t uniform. Global chains are leading the charge, with 40% of respondents from these organizations already using AI for data analytics, compared to only 27% in independent hotels. This disparity indicates that early adopters will continue to gain a competitive edge in the evolving hospitality landscape.
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しかし導入状況は均一ではない。グローバルチェーンが主導しており、回答組織の40%が既にデータ分析にAIを活用しているのに対し、独立系ホテルではわずか27%に留まる。この格差は、進化するホスピタリティ業界において、早期導入者が競争優位性を維持し続けることを示唆している。
グローバルチェーンというのは、おそらくハイアット、マリオット、ヒルトンのような「傘下にたくさんのホテルブランドを抱えた巨大チェーン」のことですね。
AI活用が進むグローバルチェーンと、それ以外の独立系や小規模チェーンとのAI活用格差が広がっていくイメージですね。
Think of AI as your always-on assistant, handling routine tasks while you focus on strategy and guest experience. By processing complex data sets, automating repetitive work, and sharpening competitive analysis, AI transforms how you approach running a hotel.
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AIを常時稼働するアシスタントと捉えよう。ルーチン業務を処理する間、経営者は戦略とゲスト体験に集中できる。複雑なデータセットの処理、反復作業の自動化、競争分析の精度向上を通じて、AIはホテル運営のアプローチそのものを変革する。
AI活用によってもたらさられる一番のメリットは「人間がゲストに向かい合う時間が増えること」なのでしょう。逆にいうと、本質的なゲスト対応すらAIに委ねるような形は「グローバルホテルチェーン」としても、まだあまり想定されていないのかもしれません。
結局のところAIの活用によって、AIをいち早く導入すできる大手とAI導入をまだ迷っている小規模ホテルとの間の「収益力」「人的ホスピタリティ」の差がさらに広がるだけなのかもしれないですね。
本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。
小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)
◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ 代表取締役社長 http://citation-sp.co.jp
◆株式会社シタシオンジャパン 取締役会長 http://www.citation.co.jp
◆株式会社 イー・ファルコン 取締役 http://www.e-falcon.co.jp
<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた) ・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった) ・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった) ・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった) ・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)
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