今週は!
ゴーンさんの話題で持ちきりの一週間。個人的に気になったのは、三井生命が大樹生命に社名変更するというニュースでした。20年程前、同社の旧主力商品であった『ベクトル』のネーミング開発に関わったことがあり、久しぶりにその社名を思い出したからです。
発表によりますと、社名変更の理由は、三井グループである同社が2015年に日本生命の子会社となったため、三井グループのルールにより三井名を使用できなくなるというもの。新社名については、同社が約50年前から販売してきた商品の名称であり、社内からも賛同意見が多かったからだそうです。
これに対して、口さがないネットでは「いまどき古臭い」「寄らば大樹(日本生命)の陰かよ」「損保ジャパン日本興和ひまわり生命よりはいいんじゃね」とか、いろんな声が飛び交っていましたが、私としてはとても良い選択をされたのではないかと感じています。
理由はいくつかありますが、まずは「短い」×「身近」というネーミングのポイントを押さえていること。たしかに半世紀前のネーミングなので古臭い感は否めませんが、同社の契約者は比較的年配のお客さまが多いと思われ、マニュライフとかネットライフとかカタカナオシャレ系の社名は必要ないと判断したのでしょう。社名変更に伴う契約者、社員双方にとっての混乱も最小限に抑えられそうです。
これだけでも十分納得感のある選択ですが、さらに深掘りをしてみると、新社名がそのマークと併せて、『日立の樹』を連想させることに“なるほどね~”と思わせるものがありました。『日立の樹』というのは、「この木なんの木、気になる木~」の歌と映像で知られる日立グループのシンボルツリーです。日本生命と日立製作所は、芙蓉グループの中心的企業。両社は東京駅前の日本生命丸の内ビルに本社を構えています。
同社の誰かがこの点に気付き、社名変更の機会を活かして三井グループから芙蓉グループへの移行もやってのけようと考えたとしたら大したもの。今後、同社の営業職員は、(不安がる)顧客に対して「いやいや当社は芙蓉グループの一員でしてね、あの日立さんと同じ大樹を使わせていただいております。どうぞ安心してご契約ください」といったトークを使えたりするのではないかとも、想像してしまうわけです。
そんなわけで、今回の掘るブログ。ネーミングはカッコ良ければいいってもんじゃないんだぜ、というお話でした。