今週は!
まだ広告をたくさんつくっていた頃の話。会社や商品に「NO.1」と言える何かがあったら、武器として迷わず使うべしという不文律のような決まりがありました。私たちはモノやサービスを買ったり選んだりするときに、まず安心感を求めるので、それを担保してくれるいちばんわかりやすくて客観的な基準の1つが「NO.1」表記だったわけです。(ちなみに、もう1つは有名人さんも使っていますというご用達もので、こちらは主観軸となります)
一方で、NO.1表記には、何をもってそれを証明するかというデータが必要となります。公的機関や業界団体発表のようなものは堂々と使えるわけですが、なかにはデータがないものや不確かなものもあります。この場合は、※を付けて「~調べ」としたりするわけですが、このやり方にはいろんな手前勝手な抜け道があって、賢い生活者にはすぐに見抜かれてしまう。以前ほどNO.1表記を見かけないのは、このような背景もあるのかなと思っています。
NO.1表記に代わって目に付くようになったのが、「~なら、○○○」という云い方です。もちろん昔からあったやり方なわけですが、最近ではよりストレートに表現する広告が増えてきたように思います。たとえば、NO.1メディアを多数有する(と思われる)リクルートグループも、数的なことを全面に出さなくなりました。
転職するなら、リクナビ
バイト探すなら、タウンワーク
住まいを探すなら、SUUMO
結婚するなら、ゼクシィ
といった具合で、「なら」表記が目立ちます。さすがに考えているなと思います。
リクルートのような大きな括りではなく、「なら」をさらに細分化した「小なら」表記も結構見かけるようになりました。
即戦力採用なら、ビズリーチ
ITエンジニアの転職なら、type
20代で家を建てるなら、タマホーム
こんなふうに領域をどんどん狭めての「なら取り合戦」が始まっています。
広告表現としてはなにやら味気ない思いもしますが、自社の強みがよくわからないという会社さんは、まずは自分たちに言える「小なら」を探してみるのも1つの方法かもしれません。