原因はいつも後付け 第3回「言動の不一致が招くもの」

// 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

《第三回》言動の不一致が招くもの

「初回利用の方に限り半額キャンペーン」
こんな文句、どこかで見たことありませんか?

初めてお店を使ってくれた人には、今だけ特別に半額になるキャンペーンをしていますよ、と言う事。
確かに半額なら、「これまでお店を気にはなっていたけど、行ったことなかった。」なんていう人にとっては、これ以上ないキャンペーンと言えるのかも知れません。

新規のお客さん獲得は、どんな商売においても欠かすことのできない重要な課題。
だから、多少利益を削ってでもご新規さんに来てもらおう、という訳です。

当然、私も飲食店を経営してきているので、この重要性は分かっているつもり。
ただ、どうしてもこう言った類のご新規キャンペーンに違和感を感じてしまうのです。

この違和感は何なんでしょう?

流行を恐れた戦術ミス

1号店の開業から8年後の2010年、私は大きなミスを犯しました。

創業時に価格勝負を仕掛けて痛い目を見たのは、この連載の第一回で書いた通り。
以来、自分のお店では「絶対に価格勝負をしてはいけない」と決めて経営をしてきました。

でも、そんな決意すら吹き飛ばしてしまうような出来事が2010年に起きました。
グルーポンの上陸です。

当時、私の会社の店舗数は15店舗ほど。
ようやく各店舗の顧客も安定してきて、これから一気に伸ばしていくぞ、という時でした。

「グルーポンの様な、店舗の業績を悪化させるサービスが長く続く訳がない。」
そう思ってはいましたが、連日テレビでグルーポンの勢いを目の当たりにし、その恐れからついに戦術を誤ってしまいました。

「一杯目無料キャンペーン」の実施です。

グルーポンに外食需要を総取りされてしまう事を恐れて、固く決意していたはずの割引に再び手を出してしまったのです。

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